東京国際大学の成績が低下している理由は、一つではない。
2026年の箱根駅伝と予選会の結果、監督体制の変遷、選手の競技実績を照らし合わせると、主に4つの課題が浮かび上がる。
1. 指導体制の継続性が揺らいだ大志田秀次監督の退任、横溝三郎氏の逝去と、チームを支えてきた指導者の交代が続いた。
特に大学駅伝では、選手の育成が数年単位で進む。監督交代によって練習方針やチーム運営が変化すれば、入学時から卒業まで一貫した強化を受けにくくなる可能性がある。
2026年の予選会後に中村監督代行が語った内容からも、こうした変化が選手世代に影響していたことがうかがえる。
2. エースとその他の選手の実力差今回の予選会で最も明確に表れた問題だ。
エティーリは個人2位だったが、チーム2番手の小柴裕士郎は97位。チームとしての順位は15位だった。
この差は、エティーリの走力だけでは埋められない。
箱根駅伝予選会では10人の合計タイムが評価されるため、エース以外の選手が安定して上位に入ることが欠かせない。
3. 世代交代と選手層の形成が課題2026年の箱根駅伝では、1年生の荒谷俊輔が5区、久保茉潤が10区を担当した。
久保は区間9位と健闘した一方、荒谷は区間20位だった。
若手選手に箱根の経験を積ませることは、長期的なチーム強化につながる。しかし、経験を積ませるだけでなく、翌年以降にどれだけ成長させられるかが問われる。
4年生の卒業によって主力が入れ替わるたびにチーム力が落ちる状況では、安定して箱根に出場することも難しい。
4. 出雲・箱根で結果を出す総合力が不足2025年の出雲駅伝は11位、2026年の箱根駅伝は16位だった。
この2大会の結果は、短い距離のスピードだけでなく、長い距離を走り切る総合力の強化も必要であることを示している。
特に箱根駅伝では、山上り・山下りを含む10区間で安定した選手配置が必要だ。
エースをどの区間に置くかという戦略だけでなく、各区間に適した選手を育成できるかがチームの競争力を左右する。
低迷は監督だけの問題なのか?ここは冷静に考える必要がある。
監督体制の変化は重要な要素だが、成績不振を監督個人の責任だけで説明することはできない。
選手の進路選択、競技継続、入学後の成長、留学生と日本人選手の戦力バランスなど、複数の要因が関係している。
今回の予選会は、指導体制の安定化と選手層の強化を同時に進めなければならないことを示した大会だった。
【東京国際大学箱根駅伝の復活はある?2027年以降の展望】
2026年10月の予選会敗退によって、東京国際大学は第103回箱根駅伝への出場を逃した。
しかし、過去に箱根総合5位や出雲駅伝優勝を経験していることを考えれば、再び上位校を目指すための実績と基盤は持っている。
重要なのは、過去の成功を懐かしむことではなく、その成功を支えた強化体制を再構築できるかどうかだ。
復活の条件1:正式な監督体制と長期的な強化方針最初の課題は、指導体制の安定だ。
中村勇太監督代行を中心とした現在の体制をどう発展させるのか、大学として長期的な方針を示すことが求められる。
監督が誰になるかだけではなく、次のような要素も重要になる。
- 毎年の新入生獲得方針
- 4年間を見据えた選手育成計画
- トラック競技とロード競技の両立
- 選手の競技継続を支える環境
- 日本人選手と留学生の連携
強い大学駅伝チームは、特定のスター選手がいる期間だけ強いのではない。卒業によって主力が抜けても、次の選手が自然に戦力へ加わる仕組みを持っている。
復活の条件2:上位10人の底上げ2026年の予選会で東京国際大学が記録したタイムは10時間45分4秒。
10位の法政大学は10時間40分8秒だった。
その差は4分56秒、つまり296秒である。
仮に上位10人が均等にタイムを縮めるとすれば、1人平均約30秒の改善が必要になる。
もちろん実際のレースでは、選手ごとの得意不得意や他大学の成績も影響する。しかし、この数字はチームが改善すべき規模を把握するうえで分かりやすい目安になる。
エースの走力をさらに伸ばすこと以上に、チーム全体の平均水準を引き上げることが優先課題だ。
復活の条件3:エティーリ卒業後の新エース育成エティーリが卒業した後、誰がチームを引っ張るのか。
2026年の選手構成を見ると、主将の久保遼人、副主将の菱田紘翔、政仁斗、小柴裕士郎、井口愁斗らが今後の中心選手候補となる。
ただし、単純に次のエースを1人決めれば解決するわけではない。
必要なのは、複数の選手が各区間で安定した結果を残せる体制だ。
留学生に頼る区間と日本人選手が担う区間のバランスを整え、10人全員が力を発揮できるチームを作る必要がある。
復活の条件4:2027年秋の第104回予選会を見据える東京国際大学にとって、次の箱根駅伝本戦出場を目指す大きな機会は、2027年秋に開催される第104回箱根駅伝予選会となる。
2027年1月の第103回本戦には出場できないため、チームは予選会から再出発することになる。
その間に取り組むべきなのは、春のトラックシーズンから夏の走り込み、秋の駅伝シーズンまで一貫した強化を行うことだ。
予選会の直前だけ調子を合わせるのではなく、年間を通じて選手の競技力を引き上げられるかが問われる。
【プロの結論】東京国際大学の復活はエース依存からの脱却にかかっている東京国際大学には、箱根総合5位、出雲駅伝優勝という確かな成功体験がある。
一方、2026年はエティーリが個人2位という成績を残しても、チームは予選会15位だった。
この事実が示すのは、個人の才能と大学駅伝で勝てる組織力は別物だということだ。
今後の復活を判断する際には、次の3点に注目したい。
1. 正式な監督体制と強化方針が安定するか。
2. エース以外の日本人選手が予選会で上位に食い込めるか。
3. 4年生が卒業しても戦力を維持できる育成体制が整うか。
この3つが改善されれば、箱根駅伝のシード権争い、さらには上位進出を再び目指せる可能性がある。
【東京国際大学駅伝に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:東京国際大学の2026年箱根駅伝の結果は何位?
2026年1月2日・3日の第102回箱根駅伝で、総合16位だった。総合タイムは10時間58分16秒で、往路19位、復路11位という結果だった。
Q2:第103回箱根駅伝予選会で東京国際大学は何位だった?
2026年10月17日に開催された予選会で15位だった。総合タイムは10時間45分4秒で、上位10校に入れず、2027年1月の本戦出場を逃した。
Q3:リチャード・エティーリの2026年の成績は?
第102回箱根駅伝2区で区間7位、2026年2月の丸亀国際ハーフマラソンでは59分07秒で優勝し、日本学生新記録を樹立した。10月の第103回予選会では個人2位の1時間00分59秒を記録した。
Q4:東京国際大学駅伝部の現在の監督は誰?
2026年7月時点の大学公式スタッフ紹介では、中村勇太氏が監督代行を務めている。2024年11月、横溝三郎氏の逝去に伴って監督代行に就任した。
Q5:東京国際大学が箱根駅伝で優勝したことはある?
箱根駅伝の総合優勝実績はない。最高順位は2020年と2022年の5位。一方、2021年には出雲駅伝で優勝している。
Q6:東京国際大学は2027年の箱根駅伝に出場できる?
第103回箱根駅伝予選会で15位となったため、2027年1月の本戦には出場できない。次の箱根本戦出場を目指すには、2027年秋の第104回予選会で上位10校に入る必要がある。
2026年の東京国際大学駅伝部は、第102回箱根駅伝の総合16位に続き、第103回箱根駅伝予選会でも15位となった。
リチャード・エティーリが個人競技で優秀な成績を残し、箱根駅伝や予選会でも力走したことは明るい材料だ。しかし、チームとして本戦出場を勝ち取るには、エース以外の選手の成長が欠かせない。
また、大志田秀次監督の退任、横溝三郎氏の逝去を経て続いている監督代行体制も、今後のチーム運営を考えるうえで要点だ。
過去には箱根駅伝総合5位、出雲駅伝優勝という実績を持つ東京国際大学。強豪校への復帰を実現できるかどうかは、2027年度に向けた選手育成と指導体制の再構築にかかっている。
東京国際大学駅伝部に今必要なのは、新たなエースを探すことだけではない。10人全員で戦えるチームを作り直すことだ。 その再建の過程こそ、今後の大学駅伝で注目すべきポイントとなる。