2026年の女性騎手を比較すると、特に目立つのが小林美駒騎手の成績だ。年間43勝を挙げ、勝率も約10.6%。現役6人の中で勝利数、勝率ともにトップクラスの数字を残している。
一方、河原田菜々騎手も年間23勝と大きく躍進。今村聖奈騎手はGⅠ制覇という大舞台での実績を残し、永島まなみ騎手は通算勝利数で現役トップを走る。
2026年の年間勝利数・勝率ランキング以下は2026年の騎手成績データベースに掲載された集計値を基にした比較だ。勝率は騎乗回数に対する1着の割合である。
| 順位 | 騎手 | 2026年勝利数 | 勝率 |
|---|---|---|---|
| 1 | 小林美駒 | 43勝 | 約10.6% |
| 2 | 河原田菜々 | 23勝 | 約6.3% |
| 3 | 今村聖奈 | 15勝 | 約4.8% |
| 4 | 永島まなみ | 10勝 | 約3.6% |
| 5 | 古川奈穂 | 5勝 | 約2.2% |
| 6 | 谷原柚希 | 0勝 | 0.0% |
2026年11月初旬の各騎手成績データベースの集計。騎乗回数や更新日の違いによって小数点以下に差が生じる場合がある。
小林美駒騎手が2026年に躍進した理由小林騎手の成績は、デビューからの推移を見るとさらに興味深い。
- 2023年:10勝
- 2024年:19勝
- 2025年:37勝
- 2026年:43勝(10月末時点)
毎年着実に勝利数を伸ばしており、2026年には年間43勝に到達した。
注目したいのは、単純な勝利数だけではなく勝率も約10%を超えている点だ。騎乗機会を増やすだけでなく、与えられた騎乗機会を勝利につなげていることが数字に表れている。
また、2025年の37勝から2026年の43勝への上積みは、継続的な成長を示す材料でもある。
女性騎手の年間最多勝記録は?現役・引退騎手を含めた年間最多勝の記録では、次の3人が特に目立つ。
- 今村聖奈:2022年51勝
- 永島まなみ:2023年50勝
- 藤田菜七子:2019年43勝
今村騎手はデビュー初年度に51勝を記録。永島騎手も2023年に50勝を挙げており、女性騎手の年間勝利数として非常に高い水準だ。
小林騎手の2026年43勝も、藤田騎手が2019年に記録した年間43勝に並ぶ数字である。
通算勝利数の歴代トップは藤田菜七子騎手JRA所属女性騎手の通算最多勝記録を持つのは、2024年に引退した藤田菜七子元騎手だ。
JRA通算166勝、騎乗回数3897回、勝率4.3%。
2016年にデビューし、女性騎手として多くのファンの注目を集めた。2019年にはコパノキッキングとのコンビでカペラステークス(GⅢ)を優勝。JRA重賞を制した女性騎手としても歴史に名を残している。
2026年11月現在、現役トップの永島まなみ騎手は139勝。藤田元騎手の記録まで残り27勝となっている。
なお、藤田元騎手は2024年10月11日付で騎手免許を取り消され、引退した。
【重賞・GⅠ実績】JRA女性騎手が歴史を変えた5つの勝利
女性騎手の活躍を語るうえで欠かせないのが、重賞競走での実績だ。
JRA所属の女性騎手による重賞勝利は、2026年のオークスと函館記念を含めて計5勝。勝利を挙げたのは藤田菜七子、今村聖奈、永島まなみ、小林美駒の4人だ。
JRA所属女性騎手の重賞勝利一覧- 2019年・カペラステークス(GⅢ)
- 騎手:藤田菜七子
- 馬:コパノキッキング
- 2022年・CBC賞(GⅢ)
- 騎手:今村聖奈
- 馬:テイエムスパーダ
- 2024年・マーメイドステークス(GⅢ)
- 騎手:永島まなみ
- 馬:アリスヴェリテ
- 2026年・オークス(GⅠ)
- 騎手:今村聖奈
- 馬:ジュウリョクピエロ
- 2026年・函館記念(GⅢ)
- 騎手:小林美駒
- 馬:ファウストラーゼン
2026年5月24日に東京競馬場で行われた第87回オークスは、女性騎手の歴史に残る一戦となった。
今村聖奈騎手が騎乗したのはジュウリョクピエロ。後方からレースを進め、最後の直線で馬群の間を抜け出すと、ドリームコアとの激しい追い比べを制した。
着差はわずかクビ差。2400メートルのクラシック競走を勝ち切った。
JRAの公式レース回顧では、今村騎手がJRA所属女性騎手として初めてクラシック競走を制したことが紹介されている。
同騎手はレース後のコメントとして、次のように振り返った。
馬と馬の間を抜ける脚が速く、ゴールが近づいてくるのが見えた。
また、JRAの公式回顧では、騎手として歴史に名を刻みたいという本人の夢にも触れている。
「女性騎手初のGⅠ制覇」は正確にはどういう意味?ここは競馬ファンが混同しやすいポイントだ。
実は、2025年2月23日のフェブラリーステークス(GⅠ)では、短期免許で来日していたレイチェル・キング騎手がコスタノヴァで優勝している。
これは女性騎手として初めてJRAの平地GⅠを制した歴史的な勝利だった。
一方、今村騎手の2026年オークス制覇は、JRA所属の女性騎手として初のクラシック制覇という記録である。
つまり、次のように区別すると正確だ。
- レイチェル・キング騎手:女性騎手として初のJRA平地GⅠ制覇(2025年)
- 今村聖奈騎手:JRA所属女性騎手として初のクラシック制覇(2026年)
今村騎手の快挙の価値が下がるわけではない。むしろ、JRA所属騎手として長期的に活動する女性ジョッキーの新しい可能性を示した記録だ。
【女性騎手の減量制度】◇・・▲は何キロ減?
JRAの女性騎手を理解するうえで知っておきたいのが、負担重量の減量制度だ。
競馬では、騎手が騎乗する際に馬が背負う重量を負担重量という。レースごとに定められた重量を背負って走るため、騎手に適用される減量制度は競走条件を考えるうえでも重要な要素になる。
JRAでは、女性騎手に対して一定の条件で負担重量を軽減する制度を設けている。
女性騎手の減量記号と減量幅| 記号 | 対象となる区分 | 減量 |
|---|---|---|
| 見習騎手・平地50勝以下 | 4kg | |
| ▲ | 見習騎手・平地51~100勝 | 3kg |
| ◇ | 見習騎手でない女性騎手 | 2kg |
※障害競走には別の勝利数基準があり、は15勝以下、▲は16~20勝が対象となる。
◇は見習騎手を卒業しても適用される特に重要なのが◇の意味だ。
男性の見習騎手に対する減量制度は、一定の勝利数や免許取得期間などの条件によって終了する。しかし、女性騎手の場合は見習騎手を卒業した後も、所定の条件を満たす通常の競走で2キロの減量が適用される。
つまり、女性騎手の減量制度は新人期間だけの優遇ではない。
ただし、すべてのレースで適用されるわけではない。JRAの規定では、特別競走とハンデキャップ競走は減量の対象外となっている。
この違いを理解しておくと、出馬表に表示される騎手の記号や負担重量を正確に読み取れる。
女性騎手の減量は勝利に直結するのか?負担重量が軽くなることは、競走馬にとって有利に働く可能性がある。しかし、2キロ軽ければ必ず勝てるという単純な話ではない。
実際の競走結果には、次のような要素が影響する。
- 騎乗する競走馬の能力や適性
- 距離やコース形態との相性
- レース展開や位置取り
- 馬場状態
- 騎手の判断や技術
減量制度は騎乗機会を考えるうえで重要な条件の一つだが、騎手の実力を評価する際には勝率や重賞実績なども併せて見る必要がある。
【歴代女性騎手の一覧】1996年のデビューから2026年までの歩み
JRAで女性が騎手免許を取得できるようになったのは1996年。2026年は、JRA所属の女性騎手が誕生して30年という節目に当たる。
これまでJRAで免許を取得した女性騎手は、合計14人。現在の現役6人に加え、8人が引退している。
JRA女性騎手14人の歴代一覧| 免許取得年 | 騎手名 | 2026年時点の状況 |
|---|---|---|
| 1996年 | 田村真来 | 引退 |
| 1996年 | 細江純子 | 引退 |
| 1996年 | 増沢由貴子 | 引退 |
| 1997年 | 板倉真由子 | 引退 |
| 1997年 | 押田純子 | 引退 |
| 2000年 | 西原玲奈 | 引退 |
| 2016年 | 藤田菜七子 | 引退 |
| 2021年 | 永島まなみ | 現役 |
| 2021年 | 古川奈穂 | 現役 |
| 2022年 | 今村聖奈 | 現役 |
| 2023年 | 河原田菜々 | 現役 |
| 2023年 | 小林美駒 | 現役 |
| 2024年 | 大江原比呂 | 引退 |
| 2025年 | 谷原柚希 | 現役 |
1996年3月1日、田村真来、細江純子、増沢由貴子の3人に騎手免許が交付された。
3人は翌日の3月2日に初騎乗。JRA所属女性騎手の新しい歴史がスタートした。
翌1997年には板倉真由子、押田純子が加わり、2000年には西原玲奈がデビューした。
ただし、当時は現在のように女性騎手が継続的にデビューする環境ではなく、女性騎手の在籍人数は限られていた。
2016年|藤田菜七子騎手が新しい時代を切り開く2016年にデビューした藤田菜七子騎手は、女性騎手への注目を大きく高めた存在だ。
2019年にはカペラステークスを制覇し、JRA重賞初勝利を達成。年間43勝という記録も残した。
2024年10月11日に引退するまで、JRA通算166勝を挙げている。
藤田元騎手に憧れて騎手を目指したと語っているのが、2025年デビューの谷原柚希騎手だ。こうした世代間のつながりも、JRA女性騎手の歴史を象徴している。
2021年以降|女性騎手が複数人で活躍する時代へ2021年には永島まなみ騎手と古川奈穂騎手、2022年には今村聖奈騎手がデビュー。
さらに2023年には河原田菜々騎手と小林美駒騎手が加わり、2025年には谷原柚希騎手がデビューした。
1996年から2000年までの初期世代と比較すると、2021年以降は複数の女性騎手が同時期に競走へ参加する状況が生まれている。
この変化は、女性騎手を単独の珍しい存在として見る時代から、複数の騎手を成績や個性で比較する時代への移行を示している。
【プロの結論】JRA女性騎手の実力は何を基準に評価すべきか
JRA女性騎手の成績を正しく理解するには、単純な通算勝利数だけで評価しないことが大切だ。
競馬の騎手成績には、騎乗機会、競走馬の能力、所属厩舎、騎乗するレースの条件など、複数の要素が関係している。
特に注目したい評価基準は次の3つだ。
1. 通算勝利数はキャリアの長さと継続性を示す
藤田菜七子元騎手の166勝、永島まなみ騎手の139勝、今村聖奈騎手の119勝は、長期的なキャリアの積み重ねを比較する材料になる。
ただし、デビュー年が違うため、通算勝利数だけで騎手の優劣を決めることはできない。
2. 年間勝率は騎乗機会に対する結果を示す
2026年の小林美駒騎手は43勝、勝率約10.6%。河原田菜々騎手は23勝、勝率約6.3%を記録している。
勝利数と勝率を組み合わせれば、騎乗数が異なる騎手同士でも、成績の特徴を比較しやすい。
ただし、騎乗する馬の能力やレース条件も異なるため、勝率だけで騎手の技術を断定するのは適切ではない。
3. 重賞・GⅠ実績は大舞台での経験を示す
平場で勝利を積み重ねることと、GⅠや重賞で勝利することは別の価値を持つ。
今村聖奈騎手のオークス制覇、小林美駒騎手の函館記念制覇は、女性騎手の活躍が重賞の舞台にも広がっていることを示す実績だ。
現役6人は、キャリアの段階も得意とする競走条件も異なる。それぞれの勝利数、勝率、重賞実績を分けて評価することが、競馬ファンにとっても最も納得感のある見方となる。
JRA女性騎手に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年現在、JRAの女性騎手は何人いますか?
現役は6人です。永島まなみ、古川奈穂、今村聖奈、河原田菜々、小林美駒、谷原柚希の6人で、栗東所属4人、美浦所属2人となっています。
Q2:JRA女性騎手の通算最多勝は誰ですか?
引退した騎手も含めると、藤田菜七子元騎手の166勝が最多です。現役では永島まなみ騎手の139勝がトップです。
Q3:JRA女性騎手でGⅠを勝ったのは誰ですか?
JRA所属女性騎手としてクラシックを初制覇したのは今村聖奈騎手です。2026年5月24日のオークスをジュウリョクピエロで優勝しました。なお、女性騎手によるJRA平地GⅠ初制覇は、2025年のレイチェル・キング騎手によるフェブラリーステークスです。
Q4:女性騎手の◇とは何を意味しますか?
◇は見習騎手ではない女性騎手の2キロ減、は所定の勝利数以下の見習女性騎手の4キロ減を示します。見習騎手の区分によっては▲の3キロ減もあります。特別競走とハンデキャップ競走は対象外です。
Q5:谷原柚希騎手はいつデビューしましたか?
2025年3月1日です。2025年度免許取得者で、美浦・伊藤圭三厩舎に所属しています。藤田菜七子元騎手の活躍に憧れて騎手を目指したことも、JRA公式プロフィールで紹介されています。
Q6:JRA女性騎手はこれまで何人デビューしていますか?
2026年現在、JRAの女性騎手免許取得者は歴代14人です。1996年の田村真来、細江純子、増沢由貴子の3人から始まり、2025年の谷原柚希騎手まで続いています。
2026年11月現在、JRA所属の現役女性騎手は6人。永島まなみ、古川奈穂、今村聖奈、河原田菜々、小林美駒、谷原柚希が、それぞれのキャリアを歩んでいる。
今回の重要な記録を振り返ると、次のとおりだ。
- 現役女性騎手は6人、歴代免許取得者は14人。
- 現役の通算最多勝は永島まなみ騎手の139勝。
- 歴代通算最多勝は藤田菜七子元騎手の166勝。
- 2026年の年間勝利数トップは小林美駒騎手の43勝。
- 今村聖奈騎手が2026年オークスを制し、JRA所属女性騎手初のクラシック制覇を達成。
- 女性騎手には◇2キロ減、見習騎手には4キロ減や▲3キロ減の制度がある。
1996年に3人から始まったJRA女性騎手の歴史は、2026年で30年を迎えた。藤田菜七子元騎手が築いた記録を永島まなみ騎手が追い、今村聖奈騎手や小林美駒騎手が重賞の舞台で新しい実績を積み重ねている。
今後の注目点は、藤田元騎手の通算166勝を誰が最初に超えるのか、そして女性騎手による次のGⅠ勝利がいつ生まれるのかという点だ。
女性騎手という枠を超え、一人ひとりの騎乗技術と実績で評価される時代へ。JRAの次の30年を担う6人の挑戦は、これからも競馬界の大きな見どころとなる。
主な参照資料:JRA公式騎手プロフィール、JRA競馬用語辞典、JRA公式レース結果・重賞回顧、ラジオNIKKEI、競馬データベース各社の2026年成績集計。