箱根駅伝の歴代区間記録は、2026年1月2日・3日に開催された第102回大会で大幅に塗り替えられた。1区では國學院大學の青木瑠郁、2区では城西大学のキムタイ、5区では青山学院大学の黒田朝日らが新記録を樹立。さらに8区と10区でも歴代最速が更新され、記録更新が相次ぐ大会となった。
2026年11月現在、第102回大会終了時点での1区から10区までの歴代最速タイム、選手名、所属大学、樹立年を一覧で紹介する。イェゴン・ヴィンセントの3区・4区記録、佐藤圭汰の7区・10区記録、野村昭夢の6区記録など、現在も残る名ランナーの実績に加え、コース変更による記録の扱いや2026年大会の更新状況も詳しく整理した。
【2026年最新版】箱根駅伝1区〜10区の歴代区間記録ランキング一覧

まずは、箱根駅伝の歴代区間最高タイムを確認しよう。以下は東京箱根間往復大学駅伝競走の大会公式サイトと日本テレビの大会記録に掲載されている、第102回大会終了時点の各区間最速記録である。
距離は現行コースの数値を採用。記録を出した選手の所属大学と大会開催年も併記した。
| 区間・距離 | 歴代最速タイム | 記録保持者 | 所属大学 | 樹立年・大会 |
|---|---|---|---|---|
| 1区・21.3km | 1時間00分28秒 | 青木瑠郁 | 國學院大學 | 2026年・第102回 |
| 2区・23.1km | 1時間05分09秒 | キムタイ | 城西大学 | 2026年・第102回 |
| 3区・21.4km | 59分25秒 | イェゴン・ヴィンセント | 東京国際大学 | 2020年・第96回 |
| 4区・20.9km | 1時間00分00秒 | イェゴン・ヴィンセント | 東京国際大学 | 2023年・第99回 |
| 5区・20.8km | 1時間07分16秒 | 黒田朝日 | 青山学院大学 | 2026年・第102回 |
| 6区・20.8km | 56分47秒 | 野村昭夢 | 青山学院大学 | 2025年・第101回 |
| 7区・21.3km | 1時間00分43秒 | 佐藤圭汰 | 駒澤大学 | 2025年・第101回 |
| 8区・21.4km | 1時間03分45秒 | 塩出翔太 | 青山学院大学 | 2026年・第102回 |
| 9区・23.1km | 1時間07分15秒 | 中村唯翔 | 青山学院大学 | 2022年・第98回 |
| 10区・23.0km | 1時間07分31秒 | 佐藤圭汰 | 駒澤大学 | 2026年・第102回 |
注目したいのは、10区間すべての歴代最速記録が2020年以降に生まれていることだ。加えて、そのうち5区間は2026年の第102回大会で更新された。
とりわけ1区の青木瑠郁、2区のキムタイ、5区の黒田朝日、8区の塩出翔太、10区の佐藤圭汰は、第102回大会を象徴する記録保持者となった。
なお、2区のキムタイの公式記録は1時間05分09秒。5区の黒田朝日は1時間07分16秒である。記録の比較では、秒単位まで確認できる大会公式の数値を基準にしたい。
【第102回箱根駅伝】2026年に5区間で歴代記録が更新された理由と注目選手
第102回箱根駅伝は、区間記録の観点から見ても歴史的な大会だった。
2026年1月3日付の日刊スポーツの大会報道によると、5区間で計7人が従来の区間記録を上回った。青山学院大学は往路・復路・総合のすべてで大会新記録を樹立し、3年連続9度目の総合優勝を達成した。
1区・青木瑠郁が國學院大學に新たな歴代最速記録1区の歴代記録を更新したのは、國學院大學の青木瑠郁だ。
記録は1時間00分28秒。第98回大会で中央大学の吉居大和がマークした1時間00分40秒を12秒短縮した。
同じ第102回大会では、中央大学の藤田大智も1時間00分37秒を記録し、従来の記録を上回っている。さらに関東学生連合のオープン参加選手である川崎楓も1時間00分38秒を記録したが、こちらは参考記録となる。
1区は大手町から鶴見までの21.3km。平坦な道が続く一方、後半の六郷橋付近では駆け引きも激しくなる。最初の区間で流れをつくる重要性を考えると、青木の記録は非常に大きな意味を持つ。
2区・キムタイが花の2区で1時間05分09秒城西大学のキムタイは、2区で1時間05分09秒を記録した。
2区は23.1kmと長く、鶴見から戸塚までを走るエース区間。権太坂や終盤のアップダウンが待ち受け、各大学の主力選手が投入される。
従来の歴代最速は、2025年の第101回大会で東京国際大学のエティーリが記録した1時間05分31秒。キムタイはこれを22秒更新した。
日本大学のキップケメイも2026年に1時間05分42秒を記録しており、第102回大会の2区では上位選手の高い走力が際立った。
5区・黒田朝日が1時間07分16秒の驚異的な区間新2026年大会で最も大きなインパクトを残した選手の一人が、青山学院大学の黒田朝日だ。
黒田は山上りの5区で1時間07分16秒をマーク。第101回大会で同じ青山学院大学の若林宏樹が樹立した1時間09分11秒を、実に1分55秒も更新した。
2026年1月2日の日刊スポーツの報道によると、黒田は5位でたすきを受け取り、終盤に先頭の早稲田大学を逆転。青山学院大学の往路優勝に大きく貢献した。
5区は小田原から芦ノ湖までの20.8km。標高約874mの最高地点に向けて一気に上り、終盤には下りも待ち受ける特殊なコースだ。
距離だけでは評価できない高低差とコース特性を克服した黒田の走りは、現行5区の歴代記録を語るうえで外せない実績となった。
8区・塩出翔太、10区・佐藤圭汰も歴代最速を更新復路でも記録更新が続いた。
青山学院大学の塩出翔太は8区で1時間03分45秒を記録。従来の最速だった東海大学・小松陽平の1時間03分49秒を4秒短縮した。
8区は平塚から戸塚までの21.4km。後半の遊行寺坂など、アップダウンへの対応が問われる区間である。
そして10区では駒澤大学の佐藤圭汰が1時間07分31秒を記録。2022年の中倉啓敦が持っていた1時間07分50秒を19秒更新した。
佐藤は第101回大会で7区の歴代最速記録も樹立している。異なる区間で2つの記録を保持する存在となり、大学駅伝における総合的な走力の高さを示した。
2026年の記録更新は、特定の大学や往路だけに集中したものではない。復路の8区・10区でも最速が更新されたことから、長距離区間全体の競技水準が上がっていることがうかがえる。
【歴代記録保持者を分析】ヴィンセント・佐藤圭汰・青学大の実績
箱根駅伝の歴代区間記録を人物ごとに見ると、複数の区間で名前が登場する選手がいる。単に一度だけ好記録を出した選手ではなく、異なる条件の区間でも高いパフォーマンスを発揮したランナーだ。
イェゴン・ヴィンセントは3区・4区の記録保持者東京国際大学のイェゴン・ヴィンセントは、箱根駅伝の歴代記録を語るうえで欠かせない選手である。
保持している記録は次の2つ。
- 3区:59分25秒(2020年・第96回大会)
- 4区:1時間00分00秒(2023年・第99回大会)
3区の59分25秒は、現行距離21.4kmにおける歴代最速記録。2020年の第96回大会、東京国際大学1年時に打ち立てた記録だ。
一方、4区の1時間00分00秒は2023年の第99回大会で樹立。4区は第93回大会からコースが変更されているため、現行コースの記録として比較する必要がある。
同じ選手が3区と4区の両方で歴代最速を保持している点は、ヴィンセントの大きな特徴だ。
佐藤圭汰は7区・10区の2区間で記録を保持駒澤大学の佐藤圭汰も、複数区間の歴代記録保持者である。
- 7区:1時間00分43秒(2025年・第101回大会)
- 10区:1時間07分31秒(2026年・第102回大会)
7区は小田原から平塚までの21.3km。気温が変化しやすく、細かなアップダウンもあるため、安定したペース配分が求められる。
一方、10区は鶴見から大手町までの23.0km。各選手がつないできたたすきをゴールまで運ぶ最終区間であり、総合順位やシード権争いの行方を左右する。
この2区間の記録を保持していることは、佐藤が異なるコース特性に対応できる選手であることを示している。
青山学院大学は複数の区間で歴代最速を記録青山学院大学は、歴代区間記録の保持者を複数輩出している。
2026年11月現在、青山学院大学の選手が保持する区間記録は次の4つだ。
- 5区:黒田朝日(1時間07分16秒)
- 6区:野村昭夢(56分47秒)
- 8区:塩出翔太(1時間03分45秒)
- 9区:中村唯翔(1時間07分15秒)
5区の黒田、8区の塩出は第102回大会で記録を更新。6区の野村は第101回大会、9区の中村は第98回大会で記録を打ち立てた。
特に注目したいのは、往路の山上り5区と復路の山下り6区の両方で青山学院大学が歴代最速を保持している点だ。山の特殊なコースへの対応力が、チームの強さを支える要素の一つになっている。
【コース変更の歴史】箱根駅伝の区間記録は昔のタイムと比較できる?
箱根駅伝の歴代記録を調べるとき、最も注意したいのがコース変更と距離の変遷である。
現在の区間距離は、往路5区間が107.5km、復路5区間が109.6km。合計217.1kmとなっている。しかし、過去には中継所の位置や道路事情の変更によって、区間距離や走行ルートが変わってきた。
第91回大会では5区・6区の記録がリセット2015年の第91回大会では、箱根山中の函嶺洞門が通行禁止になったことを受け、迂回するバイパスを使用するようになった。
関東学生陸上競技連盟が2014年10月8日に公表した距離変更と記録の取り扱いに関する資料では、走行ルートが明らかに変わる5区・6区の区間記録について、第91回大会以降を新たな記録として扱うと説明されている。
つまり、第90回大会以前の5区・6区の記録は、現在の区間記録と同じ条件で争われたものではない。過去の名選手が残したタイムは参考記録として区別する必要がある。
第93回大会では4区・5区の距離が大きく変更もう一つ重要なのが、2017年の第93回大会で実施された小田原中継所の移動だ。
この変更によって、4区と5区の距離は次のように変わった。
- 4区:18.5kmから20.9kmへ延長
- 5区:23.2kmから20.8kmへ短縮
変更の背景には、5区の負担が大きすぎることや、山上りの結果が総合順位に与える影響を調整する狙いがあった。
小田原中継所の位置を変更したことで、4区は平地区間として走る距離が長くなり、5区は山上りの距離が短くなった。従来の区間記録は新コースの正式な最速記録として引き継がれず、第93回大会以降の記録が現行コースの比較対象となっている。
距離の再計測と記録の扱いは同じではないここで押さえておきたいのが、距離の再計測と実際のコース変更は別の問題だということだ。
第91回大会に向けた再計測では、1区が21.4kmから21.3km、2区が23.2kmから23.1kmなど、複数区間で表示距離が修正された。しかし、5区・6区以外は走行ルート自体に大きな変更がないため、従来の区間記録の扱いは維持された。
したがって、距離の表示が変わったからといって、すべての区間で過去の記録が無効になるわけではない。
歴代最速を正確に比較するには、次の3点を確認するとよい。
- 大会公式サイトが対象としている区間の記録集計期間
- 記録を樹立した当時の区間距離と走行ルート
- 正式記録なのか、参考記録なのか
【区間別の特徴を解説】1区から10区まで記録が生まれるポイント
箱根駅伝では、全区間が同じ性格を持っているわけではない。距離、高低差、気象条件、たすきを受け取る順位などによって、求められる能力が大きく異なる。
往路1区〜5区:スタートから山上りまで1区(大手町〜鶴見・21.3km)は、レースの流れをつくる重要な区間。序盤の集団走から終盤の六郷橋にかけての駆け引きがポイントになる。
2区(鶴見〜戸塚・23.1km)は、各大学のエースが集まる花の2区。長い距離に加えて権太坂などの難所があり、持久力と勝負勘が問われる。
3区(戸塚〜平塚・21.4km)は、前半の下りや相模湾沿いの風への対応が重要。走力だけでなく、気象条件への適応も記録に影響する。
4区(平塚〜小田原・20.9km)は、5区につなぐ往路終盤の区間。後半に上りがあり、次の山上りを見据えた順位争いが展開される。
5区(小田原〜芦ノ湖・20.8km)は、箱根駅伝最大の難所ともいわれる山上り。高低差が大きく、上りと終盤の下りに対応する能力が必要だ。
復路6区〜10区:山下りから大手町のゴールへ6区(芦ノ湖〜小田原・20.8km)は山下り。序盤の上りを越えた後に急な下りが続き、スピードコントロールや脚への負担への対応が重要となる。
7区(小田原〜平塚・21.3km)は、時間の経過とともに気温が変わりやすい区間。アップダウンへの対応と安定したペース配分が求められる。
8区(平塚〜戸塚・21.4km)は、遊行寺坂などの上りが待ち受ける。気温が上昇する時間帯でもあり、体力を維持する力が問われる。
9区(戸塚〜鶴見・23.1km)は、復路のエース区間。優勝争いだけでなく、シード権争いの順位が大きく動くこともある。
10区(鶴見〜大手町・23.0km)は最終区間。日本橋や中央通りを経てゴールに向かう。最後まで順位争いが続き、チーム全員の努力を背負ってたすきを運ぶ区間だ。
こうした特徴を踏まえると、単純にタイムが短い選手を比較するだけでは、各区間の難しさは見えてこない。例えば、5区の黒田朝日と6区の野村昭夢は、同じ20.8kmでも正反対の高低差を持つコースで歴代最速を記録している。
【プロの結論】2026年の箱根駅伝区間記録から読み解く競技レベルの変化
2026年の第102回大会終了時点で、箱根駅伝の歴代区間記録には明確な特徴が表れている。
最初に、10区間すべての最速記録が2020年以降に樹立されていること。そして、10区間中7区間の記録が2025年または2026年に生まれていることだ。
この数字は、近年の箱根駅伝で各大学の選手層やレース全体の競技水準が高まっていることを考える材料になる。
記録更新が集中した2025年・2026年2025年の第101回大会では、6区の野村昭夢と7区の佐藤圭汰が歴代最速を更新した。
続く2026年の第102回大会では、1区・2区・5区・8区・10区の5区間で新記録が誕生した。2大会連続で複数の区間記録が更新されている。
一方で、3区のヴィンセント、4区のヴィンセント、9区の中村唯翔の記録は、それぞれ2020年、2023年、2022年に樹立されたものが残っている。
つまり、すべての区間が毎年のように更新されるわけではない。コースの特性や距離、当日の条件によって、長期間にわたり記録が維持される区間もある。
区間記録を見るときの判断基準箱根駅伝の記録を比較する際は、次の視点を持つと選手の実績をより正確に理解できる。
- タイム:同じ区間の歴代最速と何秒差なのか。
- コース:距離だけでなく、上り・下りや走行ルートも同じか。
- 樹立年:現在のコースでどれだけ長く記録が維持されているか。
- 大会成績:区間記録だけでなく、区間順位やチームの総合成績も確認する。
- 公式記録:オープン参加による参考記録と正式な区間記録を区別する。
特に重要なのは、区間記録と区間賞を混同しないことだ。区間賞はその大会で最も速かった選手に与えられる実績であり、必ずしも歴代最速を意味しない。
第102回大会でも、3区の区間賞は中央大学の本間颯が1時間00分08秒、4区は早稲田大学の鈴木琉胤が1時間00分01秒だった。しかし、歴代最速はそれぞれヴィンセントの59分25秒、1時間00分00秒である。
6区では創価大学の小池莉希が56分48秒で区間賞を獲得したが、野村昭夢の歴代最速56分47秒には1秒届かなかった。7区の國學院大學・高山豪起、9区の青山学院大学・佐藤有一も、区間賞を獲得しながら歴代最速には届いていない。
区間賞と歴代記録の違いを把握しておくことが、箱根駅伝の記録を正しく楽しむための基本となる。
箱根駅伝の歴代区間記録に関するよくある質問(FAQ)
Q1:箱根駅伝の歴代区間記録で最も速い選手は誰ですか?
A1:区間によって異なる。2026年の第102回大会終了時点では、1区は國學院大學の青木瑠郁(1時間00分28秒)、2区は城西大学のキムタイ(1時間05分09秒)、3区・4区は東京国際大学のイェゴン・ヴィンセントが保持している。
Q2:2026年の第102回箱根駅伝で新記録が出た区間はどこですか?
A2:正式な区間記録が更新されたのは1区、2区、5区、8区、10区の5区間。青木瑠郁、キムタイ、黒田朝日、塩出翔太、佐藤圭汰らが歴代最速を更新した。1区では中央大学の藤田大智も従来の記録を上回っている。
Q3:箱根駅伝の5区の歴代記録は昔の選手と比較できますか?
A3:第93回大会以前と現在の正式な区間記録は、単純には比較できない。2017年に5区の距離が23.2kmから20.8kmへ変更され、従来の記録は参考記録扱いとなった。現在の歴代最速は、2026年の第102回大会で黒田朝日が樹立した1時間07分16秒。
Q4:イェゴン・ヴィンセントは何区の区間記録を持っていますか?
A4:3区と4区の2区間。3区は2020年の第96回大会で59分25秒、4区は2023年の第99回大会で1時間00分00秒を記録している。
Q5:佐藤圭汰は何区の歴代最速記録を保持していますか?
A5:駒澤大学の佐藤圭汰は7区と10区の2区間で歴代最速を保持している。7区は2025年の第101回大会で1時間00分43秒、10区は2026年の第102回大会で1時間07分31秒を記録した。
箱根駅伝の歴代区間記録は、第102回大会終了時点で大きく更新された。青木瑠郁、キムタイ、黒田朝日、塩出翔太、佐藤圭汰らが2026年大会で歴代最速を塗り替え、1区から10区までの記録水準がさらに高まっている。
一方、3区・4区のイェゴン・ヴィンセント、6区の野村昭夢、9区の中村唯翔など、過去の大会で生まれた記録も現在まで残っている。記録の価値は、タイムだけでなく、どのようなコースで、どのような条件のもとで生まれたのかによっても変わる。
また、4区・5区の距離変更や5区・6区の走行ルート変更など、箱根駅伝には記録を比較するうえで欠かせない歴史がある。歴代最速を調べるときは、現行コースの正式記録と参考記録を区別することが大切だ。
2027年1月に開催される第103回大会では、どの区間で新たな記録が誕生するのか。2026年に生まれた数々の歴代最速記録が次の世代の選手たちによって更新されるのか、各大学のエースたちの走りに注目したい。