2026年11月4日現在、NHK連続テレビ小説(朝ドラ)の視聴率は、歴代最高記録を持つ1983年放送の『おしん』と比べると大きく変化している。ビデオリサーチの関東地区データによると、『おしん』は期間平均52.6%、最高62.9%という圧倒的な記録を残した。一方、2026年度前期の『風、薫る』は期間平均13.8%、同年度後期の『ブラッサム』は放送開始後の最新回で14.2%を記録している。
では、朝ドラの人気は本当に低下しているのか。『ばけばけ』や『風、薫る』の初回・最終回・期間平均を比較すると、作品ごとの数字には異なる特徴が見えてくる。歴代ランキングだけでなく、世帯視聴率と個人視聴率の違い、ビデオリサーチの集計条件まで整理し、2026年の朝ドラ視聴率を読み解く。
【2026年最新】朝ドラ視聴率ランキングの現状と注目作品

2026年の朝ドラ視聴率を理解するうえで、まず押さえたいのが『風、薫る』と『ブラッサム』の数字だ。前者は全130話の放送を終え、期間平均が確定している。後者は2026年度後期の作品として放送中であり、現段階では初回や各回の視聴率が比較材料となる。
『風、薫る』は期間平均13.8%で終了見上愛と上坂樹里がダブル主演を務めた『風、薫る』は、2026年3月30日に放送を開始し、9月25日に最終回を迎えた。
ビデオリサーチ調べの関東地区の数字は、次のとおりだ。
- 初回世帯視聴率:14.9%
- 番組最高世帯視聴率:16.9%
- 最終回世帯視聴率:14.5%
- 期間平均世帯視聴率:13.8%
- 期間平均個人視聴率:7.6%
番組最高は6月3日放送の第48回で、世帯16.9%、個人9.4%を記録した。最終回は世帯14.5%、個人8.0%だった。
期間平均13.8%は、前作『ばけばけ』の15.2%を1.4ポイント下回る数字である。また、2024年度後期の『おむすび』の13.1%に続く低水準となり、2009年度前期の『つばさ』と同じ数字になった。
ただし、作品の評価を期間平均だけで判断するのは早計だ。『風、薫る』は明治時代の看護師養成を題材に、大関和と鈴木雅をモチーフとした2人の女性の成長を描いた作品である。初回から最終回までの数字に加え、最高回や視聴者層も含めて見る必要がある。
『ブラッサム』は初回15.5%でスタート2026年度後期の第115作『ブラッサム』は、石橋静河が主演を務める作品だ。9月28日の初回放送では、世帯15.5%、個人8.6%を記録した。
前作『風、薫る』の初回14.9%、個人8.3%をそれぞれ上回るスタートとなった。10月5日に明らかになった初週平均は世帯14.6%、個人8.1%だった。
11月4日時点で報道されている最新の個別回は、11月2日放送の第26回。世帯14.2%、個人7.8%となっている。番組最高は現時点で初回の15.5%だ。
『ブラッサム』は作家・宇野千代をモデルとした物語で、主人公の葉野珠を石橋静河が演じる。明治、大正、昭和を生き抜く女性の人生を描いており、現段階では放送途中のため、期間平均や最終回の視聴率は確定していない。
『ばけばけ』は期間平均15.2%比較対象として重要なのが、2025年度後期の『ばけばけ』だ。髙石あかりが主演し、小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルとした物語を展開した。
全125話の期間平均は世帯15.2%、個人8.4%。最高は第52回の16.5%だった。初回は世帯16.0%、最終回は15.5%を記録している。
『風、薫る』との期間平均の差は1.4ポイント。『ブラッサム』の初回は『風、薫る』を上回っているが、初回の好調だけで最終的な期間平均まで予測することはできない。
【歴代視聴率ランキング】おしんが期間平均・最高の両方で1位
朝ドラの歴代視聴率を振り返ると、1980年代までの作品が上位を占めている。特に1983年放送の『おしん』は、期間平均と最高視聴率の両方で歴代1位という突出した実績を持つ。
以下は、ビデオリサーチが公表する関東地区の世帯視聴率を基準に整理したランキングだ。期間平均ランキングと最高視聴率ランキングでは順位が異なるため、分けて確認したい。
朝ドラ歴代・期間平均視聴率TOP5| 順位 | 作品名・放送年 | 期間平均 | 作品の最高視聴率 |
|---|---|---|---|
| 1位 | おしん(1983年) | 52.6% | 62.9% |
| 2位 | 繭子ひとり(1971年) | 47.4% | 55.2% |
| 3位 | 藍より青く(1972年) | 47.3% | 53.3% |
| 4位 | 鳩子の海(1974年) | 47.2% | 53.3% |
| 5位 | 北の家族(1973年) | 46.1% | 51.8% |
1位の『おしん』は2位の『繭子ひとり』に5.2ポイントの差をつけている。50%を超える期間平均という数字は、現在のテレビ視聴環境では考えにくいほどの水準だ。
朝ドラ最高視聴率ランキングTOP51話単位の最高視聴率で比較すると、ランキングは次のようになる。
| 順位 | 作品名 | 最高視聴率 | 放送年 |
|---|---|---|---|
| 1位 | おしん | 62.9% | 1983年 |
| 2位 | 旅路 | 56.9% | 1967年 |
| 3位 | おはなはん | 56.4% | 1966年 |
| 4位 | 澪つくし | 55.3% | 1985年 |
| 5位 | 繭子ひとり | 55.2% | 1971年 |
ここでいう最高視聴率は、作品中で最も平均視聴率が高かった放送回の数字だ。1分単位で記録した番組内の瞬間的な最高値とは異なる。
期間平均と最高視聴率を分けることで、作品が長期間にわたって支持されたのか、それとも特定の回で大きな反響を集めたのかを判断しやすくなる。
近年の朝ドラと歴代記録の比較2020年代の作品を並べると、期間平均はおおむね13~20%台で推移している。歴代上位の40~50%台とは大きな開きがあるものの、現在の視聴環境を考慮する必要がある。
2026年時点で注目したい作品の関係は次のとおりだ。
- おしん:期間平均・最高視聴率の両方で歴代1位。
- ばけばけ:2025年度後期。期間平均15.2%。
- 風、薫る:2026年度前期。期間平均13.8%。
- ブラッサム:2026年度後期。初回15.5%でスタートし、現在放送中。
【おしんが歴代最高を記録】朝ドラ視聴率はなぜ変化したのか
『おしん』の記録が特別なのは、単に最高視聴率が高かったからではない。期間平均52.6%という数字が示すように、特定の話題回だけでなく、長期間にわたって視聴者を引きつけた作品だった。
1980年代までの朝ドラは家庭の共通コンテンツだった朝ドラの放送が始まったのは1961年4月。第1作『娘と私』からシリーズが続き、1966年の『おはなはん』や1967年の『旅路』などが大きな人気を獲得した。
1970年代には『繭子ひとり』『藍より青く』『鳩子の海』などが期間平均40%台後半を記録。1983年には『おしん』が歴代最高を更新した。
当時は現在ほど視聴手段が多様化しておらず、テレビ番組が家庭内で共有される娯楽として強い存在感を持っていた。朝の時間帯に家族や職場で同じ作品を視聴する環境も、数字を押し上げる背景になった。
1990年代以降は視聴者の選択肢が拡大ビデオリサーチの歴代データを年代別に見ると、1990年代以降は朝ドラの期間平均が徐々に低下していく傾向が確認できる。
テレビ局や番組の選択肢が増え、録画機器や動画配信サービスも普及した。視聴者が放送時間にテレビの前に集まる必要性は以前より小さくなっている。
そのため、現在の13~17%台という数字を、1980年代の40~50%台と単純に比較して作品の人気を判断することには限界がある。
2010年の放送時間変更も比較のポイント歴代データには、放送時間の変更という重要な区切りがある。
第81作『ウェルかめ』まではNHK総合で午前8時15分から放送されていたが、第82作『ゲゲゲの女房』から午前8時開始に変更された。
この変更後には、2010年度の『ゲゲゲの女房』が期間平均18.6%、2012年度前期の『梅ちゃん先生』が20.7%、2013年度後期の『ごちそうさん』が22.4%を記録するなど、20%を超える作品も登場した。
つまり、朝ドラの視聴率は一方向に下がり続けたわけではない。放送時間や作品の内容、視聴者の生活スタイルなど、複数の要因が関係している。
【初回・最終回・期間平均】朝ドラ視聴率の正しい比較方法
朝ドラの視聴率を調べると、初回視聴率、最終回視聴率、最高視聴率、期間平均視聴率という4種類の数字が登場する。それぞれ意味が違うため、同じ基準で比較することが大切だ。
初回視聴率は作品への期待度を示す初回視聴率は、作品がスタートした最初の放送回をどれだけの世帯・個人が視聴したかを示す。
出演者の知名度、前作からの期待感、番組宣伝、放送開始時の話題性などが影響する。初回の数字が高くても、その後の視聴を維持できるとは限らない。
実際に『ブラッサム』は初回15.5%と好調なスタートを切った一方、初週平均は14.6%だった。初回だけで作品全体の評価を決めることができない好例だ。
最終回視聴率は終盤まで残った視聴者の関心を見る最終回視聴率は、物語の結末が放送された回の数字である。作品の締めくくりに対する関心や、最後まで視聴を続けた層の動向を考える参考になる。
『ばけばけ』は初回16.0%、最終回15.5%。『風、薫る』は初回14.9%、最終回14.5%だった。両作品とも最終回の数字が初回を大きく下回ってはいない。
ただし、最終回が高いからといって全話を通して高い視聴率だったとは限らない。途中の視聴率推移も合わせて確認したい。
期間平均視聴率が作品比較に向いている理由期間平均視聴率は、初回から最終回までの全放送回を対象にした平均値だ。特定の回の盛り上がりに左右されにくく、作品全体の視聴状況を比較するのに適している。
たとえば、『風、薫る』は最高16.9%を記録した回がある一方、期間平均は13.8%だった。最高回だけを見れば16%台の作品だが、全話を通して見ると13%台という別の姿が見える。
視聴率ランキングを確認するときは、原則として期間平均を中心に比較し、最高回や初回・最終回を補助指標として使うのが合理的だ。
【世帯視聴率と個人視聴率の違い】ビデオリサーチの集計方法
朝ドラ視聴率を理解するうえで、もう一つ欠かせないのが世帯視聴率と個人視聴率の違いだ。ニュース記事で「世帯15%、個人8%」と並んでいるのは、同じ視聴状況を異なる母数で測定しているためである。
世帯視聴率はテレビを見ていた世帯の割合世帯視聴率は、テレビを所有している調査対象世帯のうち、特定の番組を視聴していた世帯の割合を示す。
例えば、調査対象の100世帯のうち15世帯で朝ドラが視聴されていれば、世帯視聴率は15%となる。
同じ家庭で家族が2人視聴していても、世帯としては1世帯として扱われる。家庭単位での番組到達度を把握するための指標だ。
個人視聴率は4歳以上の視聴者を対象にする個人視聴率は、世帯内に居住する4歳以上の個人を対象に、実際に誰が番組を見ていたかを測定する指標である。
同じ家庭で複数人がテレビを見ていても、それぞれの個人として集計される。性別や年齢などで区分して分析できる点も特徴だ。
世帯視聴率15%と個人視聴率8%という数字は矛盾していない。計算の母数が異なるため、両者を直接比較することはできない。
ビデオリサーチ関東地区の調査条件ビデオリサーチの公表する関東地区のテレビ視聴率調査では、テレビ受像機を所有する世帯と、その世帯に住む4歳以上の家族が対象となる。
公表されている調査概要では、関東地区の標本世帯数は2,700世帯。住民基本台帳の世帯数データを基に無作為抽出し、ピープルメーターによる機械式調査を実施している。
調査結果を見るときは、次の条件を意識したい。
- 地域:関東地区の数字なのか、関西地区なのか。
- 指標:世帯視聴率か個人視聴率か。
- 視聴形態:リアルタイム視聴か、録画視聴を含む総合視聴率か。
- 対象期間:初回、最高回、最終回、期間平均のどれなのか。
- 放送条件:通常放送以外の特別編成や放送時間変更が含まれるか。
リアルタイム視聴率だけでは、録画して後から視聴した人の動向は把握できない。ビデオリサーチでは、放送日から7日以内の録画視聴を測定するタイムシフト視聴率も提供している。
リアルタイム視聴とタイムシフト視聴のいずれかで見たことを示す指標が総合視聴率だ。同じ人が両方で視聴した場合の重複を考慮するため、単純に2つの数字を足したものではない。
朝ドラのように毎日放送される番組は、仕事や学校の都合で放送時間に見られない人もいる。リアルタイム視聴率とタイムシフト視聴率を併せて見ることで、視聴者の実態をより多角的に把握できる。
歴代ランキングには集計条件の違いがある歴代視聴率を比較する際に見落とされやすいのが、放送年代による集計方法の違いだ。
ビデオリサーチの公表資料によると、1964~1988年は番組平均世帯視聴率に放送分数を掛けて加重平均する方式で期間平均を算出している。1989年以降は、毎分視聴率を合計して総放送分数で割る方式だ。
加えて、2020年度前期の『エール』以降は、原則として月曜日から金曜日までの本編放送を対象とし、土曜日の放送は含めていない。
1964年の第4作『うず潮』から歴代データがそろっている一方、1963年以前は初回・最高・平均のすべての数字がそろっていない。このため、ランキングの対象範囲にも注意が必要だ。
【プロの結論】朝ドラ視聴率は数字の高さだけで評価しない
2026年の朝ドラ視聴率を分析すると、歴代最高記録と現在の視聴率の間には大きな差がある。しかし、その差だけを根拠に、現在の朝ドラが昔より面白くなくなったと判断するのは適切ではない。
視聴率は作品の評価を考える重要な材料だが、視聴者の生活習慣やテレビの利用方法、調査方法の変化も反映している。
朝ドラの人気を判断する3つの基準1. 期間平均で作品全体の支持を確認する。
最も基本となるのは期間平均だ。『ばけばけ』の15.2%と『風、薫る』の13.8%を比較すれば、関東地区の世帯リアルタイム視聴率では前者が上回っていることが分かる。
2. 初回・最高回・最終回で推移を確認する。
初回が高い作品でも、中盤以降に数字が変化する場合がある。最高回がどこにあるか、最終回までどの程度の数字を維持したかを確認すると、作品ごとの特徴を把握しやすい。
3. 個人視聴率と総合視聴率も参考にする。
世帯視聴率だけでは、実際にどの年齢層が視聴しているかまでは分からない。個人視聴率やタイムシフト視聴率を組み合わせることで、視聴者の広がりをより正確に捉えられる。
よくある誤解:視聴率が低い作品は人気がない?視聴率が低いことと、作品の人気がないことは同じ意味ではない。
リアルタイム視聴率が低くても、録画視聴や配信で作品を楽しむ人はいる。また、SNSでの話題性や出演者への関心、作品の評価などは、世帯視聴率だけでは測定できない。
反対に、SNSで話題になった作品が必ずしも高い期間平均を記録するわけでもない。話題性と視聴率は関連することがあっても、別々の指標として扱うべきだ。
歴代ランキングを楽しみたい人は期間平均と最高視聴率を、現在の朝ドラの動向を知りたい人は初回・週平均・最新回を中心に見ると、目的に合った情報を得られる。
【朝ドラ視聴率】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:朝ドラの歴代最高視聴率は何%ですか?
A1:1983年放送の『おしん』が記録した62.9%です。期間平均も52.6%で、現在も歴代1位となっています。いずれもビデオリサーチ調べの関東地区・世帯視聴率です。
Q2:2026年の朝ドラで最も新しい視聴率は何%ですか?
A2:2026年11月4日時点で報道されている『ブラッサム』の最新個別回は、11月2日放送の第26回で世帯14.2%、個人7.8%です。初回は世帯15.5%、個人8.6%でした。
Q3:『風、薫る』の期間平均視聴率は何%でしたか?
A3:全130話の期間平均は世帯13.8%、個人7.6%です。最高は第48回の世帯16.9%、初回は14.9%、最終回は14.5%でした。
Q4:『ばけばけ』の平均視聴率はどのくらいですか?
A4:全125話の期間平均は世帯15.2%、個人8.4%です。最高は第52回の16.5%、初回は16.0%、最終回は15.5%でした。
Q5:世帯視聴率と個人視聴率はどちらを参考にすればよいですか?
A5:家庭単位でどの程度視聴されているかを知りたい場合は世帯視聴率、実際に何人が視聴しているかや視聴者の属性を知りたい場合は個人視聴率が参考になります。両方を確認するのが理想的です。
Q6:朝ドラの視聴率は関東地区と全国で違いますか?
A6:違う場合があります。ビデオリサーチの関東地区の数字は関東地区の調査対象を基にした数値であり、全国の視聴状況と同一ではありません。報道された数字を比較するときは調査地域をそろえる必要があります。
2026年の朝ドラ視聴率を歴代データと比較すると、『おしん』の期間平均52.6%、最高62.9%という記録が現在も圧倒的な位置を保っている。
一方、近年の作品では『ばけばけ』が15.2%、『風、薫る』が13.8%の期間平均を記録した。放送中の『ブラッサム』は初回15.5%、11月2日放送の第26回で14.2%となっており、今後の推移が注目される。
朝ドラの人気を正しく判断するには、歴代ランキングだけでなく、初回・最高回・最終回・期間平均を区別することが欠かせない。加えて、世帯視聴率と個人視聴率、リアルタイムとタイムシフトの違いも理解しておきたい。
『おしん』の時代と2026年の朝ドラでは、テレビを取り巻く環境そのものが異なる。単純な数字の大小ではなく、同じ年代・同じ集計条件で比較すること。それが朝ドラ視聴率の歴史と現在の人気を正しく読み解くための判断基準となる。