野原未蘭(のはら・みらん)さんは、富山県富山市出身の女流棋士です。2003年8月4日生まれで、2026年11月現在は女流二段、日本将棋連盟所属、師匠は森内俊之九段。5歳ごろから将棋を始め、中学生名人戦での女性初優勝や女流アマ名人戦3連覇など、アマチュア時代から際立った実績を残してきました。
2020年に17歳で女流棋士としてデビューした後も着実に実力を伸ばし、2025年には女流順位戦A級へ昇級。法政大学キャリアデザイン学部での学びも終え、2026年春からは将棋に専念する生活へ移行しています。現在の成績や棋風、倉敷藤花戦・女流名人戦での実績をたどると、若手実力派としての現在地が見えてきます。
【プロフィール】野原未蘭の読み方・年齢・出身地・師匠は?
野原未蘭さんの名前は、「のはら・みらん」と読みます。
「未蘭」という珍しい名前については、2020年の文春オンラインのインタビューで本人が由来を明かしています。両親が新婚旅行で訪れたイタリアのミラノにちなんで名付けられたそうです。
小学生のころは珍しい名前だと感じていたものの、覚えてもらいやすく、響きも気に入っていると話しています。
日本将棋連盟の公式プロフィールに掲載されている基本情報は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | 野原未蘭 |
| 読み方 | のはら・みらん |
| 生年月日 | 2003年8月4日 |
| 年齢 | 23歳(2026年11月現在) |
| 出身地 | 富山県富山市 |
| 所属 | 日本将棋連盟 |
| 女流棋士番号 | 70 |
| 段位 | 女流二段 |
| 師匠 | 森内俊之九段 |
| 得意戦法として知られるもの | 英春流 |
特に注目したいのは、師匠が永世名人資格を持つ森内俊之九段であることです。
森内九段は、羽生善治九段らと数々の名勝負を繰り広げてきたトップ棋士。野原さんはプロ入りを機に森内九段へ弟子入りしました。
一方、アマチュア時代に将棋の基礎を鍛えた指導者は鈴木英春氏です。この2人は野原さんの棋歴を理解するうえで欠かせない存在です。
日本将棋連盟のプロフィールと2026年8月公開の将棋情報局の紹介でも、女流二段、富山市出身、森内九段門下という情報が確認できます。
【経歴・年表】5歳で将棋を始め、中学生名人から17歳でプロ入り
野原さんが将棋に出会ったのは幼稚園の年長ごろです。
きっかけは将棋好きだった父親。父親が将棋番組を見ている姿に興味を持ち、ルールを教えてもらったことから将棋の世界に入りました。
2020年の文春オンラインのインタビューでは、父親が最初の対局でわざと負けてくれたことも語っています。幼い野原さんはそのことに気づかず、勝つ喜びを感じて将棋を好きになったそうです。
その後、父親が将棋教室を探し、週1回ほど対局を重ねるようになりました。
アマチュア時代から全国トップクラスの実績野原さんの成長を語るうえで外せないのが、小学生から中学生にかけての大会実績です。
小学生時代には倉敷王将戦の富山県大会で上位に入り、4年生ごろには初段に到達。さらに実力を高めるため、父親とともに石川県金沢市の鈴木英春氏が主宰する晩成塾に通うようになります。
特に大きな転機となったのは、2018年の第43回中学生将棋名人戦です。
この大会は男女混合の全国大会で、野原さんは女子として初めて優勝しました。
さらに女流アマ名人戦でも2017年、2018年、2019年と3年連続優勝。大会史上初の3連覇という記録を打ち立てています。
日本将棋連盟の歴代優勝者一覧でも、3年連続で野原未蘭さんの名前が掲載されています。
野原未蘭の主な経歴・転換点この経歴から分かるのは、野原さんが単に若くしてプロ入りした棋士ではないということです。男女混合の大会でも結果を残し、女性アマチュア棋界でも継続してトップに立ってきました。
特に中学生名人戦での優勝は、女性限定の大会での実績とは異なる意味を持ちます。男女の区別なく競う全国大会で頂点に立った経験は、その後のプロ活動につながる大きな自信になったはずです。
【学歴】法政大学キャリアデザイン学部を卒業!大学生活と将棋の両立
野原さんの学歴で注目されるのが、法政大学キャリアデザイン学部への進学です。
高校卒業後に同学部へ進学し、女流棋士として対局を続けながら大学生活を送りました。
法政大学が2025年4月に公開したインタビューでは、当時キャリアデザイン学部の4年生として紹介されています。
大学ではマーケティングを学ぶ2026年3月20日公開のオカムラのインタビューでは、大学生活について本人が詳しく振り返っています。
野原さんは大学でマーケティングのゼミに所属し、同じテーマに関心を持つ仲間と研究に取り組んでいました。
1、2年生のころは毎日のように授業へ出席し、3年生以降はゼミ活動にも参加。将棋の仕事と大学の課題、試験、卒業論文を並行する生活は、本人にとって非常に忙しいものだったようです。
それでも4年間を振り返り、大学に進学してよかったと語っています。
この経験は、将棋だけでは得られない人間関係や考え方を身につける機会にもなりました。
2026年春からは女流棋士一本の生活へ2026年春、野原さんは法政大学を卒業しました。
同年3月のインタビューでは、大学卒業後は女流棋士一本で生活していくことを明らかにしています。
大学時代は学業と対局で忙しく、自宅は寝るために帰る場所のようになっていたとのこと。卒業後は将棋盤とパソコンを置けるデスクを整え、研究環境も見直したそうです。
注目したいのは、卒業を単なる学歴上の節目として捉えるのではなく、将棋に使える時間を増やす転換点として迎えていることです。
これまで学業との両立に充てていた時間を、研究や対局準備に振り向けられるようになります。
女流棋士としての本格的なキャリアを考えるうえで、2026年は大きな節目といえます。
【師匠と棋風】森内俊之九段と鈴木英春氏から受けた影響
野原さんの将棋を理解するうえで重要なのが、2人の指導者の存在です。
- 鈴木英春氏: アマチュア時代に英春流を学んだ指導者。
- 森内俊之九段: プロ入り後の正式な師匠。
両者の役割は異なります。
鈴木英春氏から学んだ英春流とは?英春流は、元奨励会三段の鈴木英春氏が考案した独創的な戦法の総称です。
代表的なものとして「かまいたち戦法」と「カメレオン戦法」があります。
一般的な定跡とは異なる独特の序盤構想を持ち、相手の想定から外れる展開を作ることを特徴としています。
文春オンラインの2020年のインタビューによると、野原さんは小学4年生ごろから晩成塾に通い、小学5年生ごろから鈴木氏による直接指導も受けていました。
その対局数は300局以上に及んだと本人が明かしています。
興味深いのは、もともと野原さんが得意としていたのは角交換四間飛車だったことです。
英春流を学び始めた当初は、以前の攻め中心の将棋とは異なる受けの技術が必要になり、勝てなくなる時期もあったと振り返っています。
しかし、実戦を重ねるなかで徐々に対応力を身につけ、独自のスタイルを確立していきました。
森内俊之九段が正式な師匠になった理由野原さんは2020年9月のプロ入りを機に、森内俊之九段に弟子入りしました。
森内九段は、守りの堅さや精密な読みを武器に数々のタイトルを獲得した名棋士です。
2026年の将棋情報局による野原さんのプロフィール紹介では、英春流に加え、森内九段の「鉄板流」からの影響も特徴として挙げられています。
ただし、野原さんの棋風を一つの戦法だけで説明するのは適切ではありません。
2026年のインタビューでは、本人も新しい指し方を模索していると話しています。AIを使った序盤研究や対局の振り返りを取り入れながら、実際に盤を使って指すことも大切にしているそうです。
つまり、英春流を原点としながら、プロとして戦うための新しい将棋を追求している段階なのです。
【2026年最新成績】女流順位戦A級・女流名人戦・倉敷藤花戦の実績
野原さんの実力を客観的に見るには、年度別の勝率だけでなく、主要棋戦でどこまで勝ち上がっているかを確認する必要があります。
2026年度の公式戦成績は11勝7敗日本将棋連盟が公表する2026年度の女流棋士成績によると、野原さんは2026年11月3日対局分まで18局11勝7敗、勝率0.6111です。
| 成績項目 | 数値 |
|---|---|
| 2026年度対局数 | 18局 |
| 勝利 | 11勝 |
| 敗北 | 7敗 |
| 勝率 | 61.11% |
| 通算対局数 | 205局 |
| 通算勝利 | 119勝 |
| 通算敗北 | 86敗 |
| 通算勝率 | 58.05% |
通算勝率も約58%で、プロ入りから積み重ねてきた勝ち星が確認できます。
なお、年度成績は4月から翌年3月までの将棋連盟の年度区分です。暦年の成績と混同しないようにする必要があります。
女流順位戦A級への昇級と残留野原さんのキャリアで大きな転機となったのが、ヒューリック杯白玲戦・女流順位戦での昇級です。
女流順位戦は、女流棋士がA級からD級までのクラスに分かれて戦う順位戦です。A級は白玲への挑戦者を争う最上位クラスに当たります。
野原さんの順位戦の歩みは次のとおりです。
- 第2期:C級で6勝2敗、3位となり昇級。
- 第3期:B級で5勝4敗、7位。
- 第4期:B級で5勝4敗、6位。
- 第5期:B級で8勝1敗、2位となりA級昇級。
- 第6期:A級で4勝5敗、7位となり残留。
- 第7期:2026年11月にA級での新シーズンが開幕。
特に第5期のB級8勝1敗は見逃せない実績です。安定して勝ち星を積み重ね、A級への切符を手にしました。
2026年7月に終了した第6期では4勝5敗の7位。A級残留を決めています。
そして2026年11月2日から始まった第7期でもA級に在籍。開幕戦では山根ことみ女流三段と対戦し、黒星スタートとなりました。
A級には福間香奈女流四冠、伊藤沙恵女流四段、加藤桃子女流四段ら実力者がそろっています。ここで安定して勝ち越せるかが、今後の大きな課題です。
倉敷藤花戦では挑戦者決定戦まで進出野原さんと倉敷藤花戦の関係は、プロ入りの経緯そのものに関わっています。
2020年の第28期大山名人杯倉敷藤花戦には、アマチュアとして出場しました。
そこで勝ち進み、女流棋士2級への昇級資格となるベスト8に到達。これがプロ入りへの直接的なきっかけになりました。
さらに同年は準決勝まで進出し、ベスト4という結果も残しています。
翌2021年の第29期では、ついに挑戦者決定戦まで進出しました。タイトル挑戦まであと一歩というところまで迫ったのです。
その後も倉敷藤花戦への出場を続けていますが、2026年の第34期では準々決勝で敗退しています。
過去の実績と比較すると、同棋戦は野原さんの可能性を広く知らしめた重要な舞台といえます。
女流名人戦リーグでは2期連続でリーグ入り女流名人戦でも、野原さんは上位リーグで戦う経験を積んでいます。
第51期では女流名人リーグ入りを果たしたものの、3勝6敗で8位となり陥落。
その後、第52期でもリーグ入りを果たしましたが、こちらも3勝6敗で9位となり、再び陥落しました。
2期連続でリーグに入ったことは評価できる一方、強豪との総当たり戦で勝ち越すことが次の課題として残っています。
リーグ入りそのものと、リーグ内で上位を確保することは別の実力が大切です。ここに現在の野原さんの課題が表れています。
【現在の実力と評価】野原未蘭が今後タイトルを狙うための課題
2026年の野原さんを評価するうえで、重要なのは3つのポイントです。
1. A級で戦い続ける経験最初に、女流順位戦A級への残留は大きな意味を持ちます。
A級は女流棋界のトップ層が集まるクラスです。1局ごとの結果が昇級・降級やタイトル挑戦に影響するため、単純な勝率以上に対局の質が問われます。
第6期を4勝5敗で終えた野原さんにとって、第7期は上位進出を目指す重要なシーズンです。
2. 独自の棋風を進化させられるか2つ目は、英春流を土台にしながら、現代の将棋に適応できるかという点です。
独創的な序盤戦術は野原さんの個性ですが、トップ層との対局では相手の研究も深くなります。
そのため、同じ戦型を繰り返すだけでなく、局面ごとの判断力や新しい指し方を身につけることが重要になります。
本人も2026年のインタビューで、新しい指し方を模索していると明かしています。
3. 大学卒業後の研究時間を結果につなげられるか3つ目は、2026年春からの生活の変化です。
大学との両立が終わり、将棋を中心とした生活になったことは、研究環境を整えるうえで大きな変化です。
ただし、自由に使える時間が増えることと、実際に勝率が上がることは同じではありません。
研究した内容を実戦で使い、負けた対局から課題を見つけ、次の対局に反映できるかが問われます。
オカムラのインタビューでは、野原さん自身がAIによる研究と盤を使った実戦的な振り返りの両方を重視していることを語っています。
将棋ファンにとっては、こうした研究方法がA級での成績にどう表れるかも注目ポイントです。
【よくある質問】野原未蘭に関するFAQ
Q1:野原未蘭の読み方は何ですか?
A1:野原未蘭は「のはら・みらん」と読みます。名前の「未蘭」は、両親の新婚旅行先だったイタリアのミラノに由来します。
Q2:野原未蘭の師匠は誰ですか?
A2:正式な師匠は森内俊之九段です。アマチュア時代には鈴木英春氏から英春流を学び、300局以上の直接指導を受けたと本人がインタビューで語っています。
Q3:野原未蘭は法政大学を卒業していますか?
A3:はい。法政大学キャリアデザイン学部に在籍し、2026年春に卒業しました。大学時代はマーケティングのゼミにも所属していました。
Q4:野原未蘭は2026年現在、何段ですか?
A4:2026年11月現在は女流二段です。2024年12月13日に、女流初段昇段後の勝数規定を満たして昇段しました。
Q5:野原未蘭は女流順位戦A級ですか?
A5:はい。第6期でA級に残留し、2026~2027年の第7期もA級で戦っています。
Q6:野原未蘭の2026年度の勝率はどれくらいですか?
A6:日本将棋連盟の公表記録では、2026年11月3日対局分まで18局11勝7敗、勝率61.11%です。通算では205局119勝86敗、勝率58.05%となっています。
Q7:野原未蘭はタイトルを獲得していますか?
A7:代表的な実績として、第29期倉敷藤花戦の挑戦者決定戦進出があります。ただし、この対局ではタイトル挑戦を決められず、倉敷藤花の獲得には至っていません。
野原未蘭さんは、5歳ごろから将棋を始め、中学生名人戦での女子初優勝、女流アマ名人戦3連覇という実績を引っ提げて17歳でプロ入りした女流棋士です。
アマチュア時代に鈴木英春氏から学んだ英春流を土台とし、プロ入り後は森内俊之九段の門下で経験を重ねてきました。
法政大学キャリアデザイン学部での4年間を終えた2026年春からは、女流棋士一本の生活へ移行。女流二段としてA級で戦い、年度成績も11勝7敗と勝ち越しています。
一方、女流名人戦リーグでの降級やA級での勝ち越しなど、今後に向けた課題も残っています。
野原未蘭さんを評価するうえで注目したいのは、若いころの華々しいアマチュア実績だけでなく、トップ棋士が集まるA級でどこまで安定して勝てるかという点です。
独自の棋風を磨き、大学卒業後の研究時間を実戦の結果につなげられるか。2026年は、アマチュア時代から期待されてきた才能を、プロとしての確かな実績へ変えていくための重要な一年になっています。
今後のA級での順位、倉敷藤花戦での再挑戦、そして女流名人戦リーグへの復帰が、野原未蘭さんの次の大きな見どころです。