石川祐希の2026-27シーズンの所属先は、トルコ男子バレーボール1部リーグのジラート・バンク・アンカラ(Ziraat Bankkart)だ。
2026年6月5日、石川は翌シーズンから同クラブでプレーすることを正式発表した。9月には日本代表の活動を終えてトルコへ渡り、新しいチームに合流。クラブ公式サイトの選手一覧にも、背番号11番のYuki Ishikawaとして掲載されている。
これまで約11シーズンにわたってイタリアを主戦場としてきた石川にとって、トルコは初めてプレーするリーグ。2026年10月17日にトルコリーグの新シーズンが開幕し、海外キャリアの新章が本格的に始まった。
ジラート・バンク・アンカラはどんなクラブ?ジラート・バンク・アンカラは、トルコの首都アンカラを本拠地とする強豪クラブ。トルコリーグでは2020-21シーズン以降の6シーズンで5度の優勝を記録し、欧州チャンピオンズリーグでも上位を争ってきた。
2025-26シーズンもトルコリーグを制し、欧州チャンピオンズリーグでは3位に入った。国内タイトルだけでなく、欧州の舞台でも優勝を狙える競争力を持つチームだ。
チームには、オランダ代表のニミル・アブデルアジズ、フランス代表のトレボール・クレブノ、フランス代表セッターのバンジャマン・トニウッティら実力者が在籍する。石川にとっても、国際大会で培った技術をさらに磨ける環境となる。
なお、2026年11月2日時点で確認できるクラブ公式登録情報では、石川の背番号は11番。今後はチーム内での役割や出場機会、欧州チャンピオンズリーグでのパフォーマンスが注目される。
【移籍理由を解説】なぜ石川祐希はイタリアからトルコを選んだのか

石川祐希のトルコ移籍は、単なるクラブの変更ではない。長年築いてきたイタリアでのキャリアを一区切りとし、30歳という節目に新しい環境へ飛び込む決断だった。
2026年6月の移籍発表後、THE DIGESTやスポーツメディアのインタビューで、石川本人が決断の背景を説明している。
理由1:新しい環境で自分自身を成長させたい石川が繰り返し語っているのは、環境を変えることによる成長への期待だ。
「今までイタリアしか経験していなかったので、環境をガラッと変えてみたかったんです」
これは2026年8月に掲載されたインタビューでの発言だ。
石川は、バレーボールの技術だけでなく、人間としても新しい経験を積むことに意味があると説明している。長く慣れ親しんだイタリアを離れ、異なる文化や言語、生活環境に身を置くことを前向きに捉えていた。
特に、イタリア語中心だった生活から英語を使う環境に変わることも、新しい挑戦の一つとなる。
理由2:クラブの実力と契約条件を総合的に評価した移籍先を決める際、石川は競技面だけでなくプロ選手としての契約条件も重視していた。
インタビューでは、複数の国やクラブからオファーが届いていたことを明かしている。イタリア国内だけでなく、ポーランド、ロシア、日本なども選択肢にあった。
その中で比較したのは、次のような要素だ。
- 所属クラブのリーグ成績と競技レベル
- 欧州チャンピオンズリーグへの出場可能性
- 自身の成長につながる環境かどうか
- 年俸や契約条件がキャリアに見合っているか
- 新しい国や文化で得られる経験
ジラートは2025-26シーズンのトルコリーグ王者で、欧州チャンピオンズリーグでも3位。石川が求める競技レベルと契約条件の両面で、魅力的な選択肢だった。
したがって、今回の移籍を「トルコの高額オファーだけが理由」と理解するのは正確ではない。本人の説明からは、待遇と競技環境、将来の成長を総合的に判断したことが読み取れる。
理由3:ロサンゼルス五輪を見据えたキャリアの再構築もう一つ注目したいのが、日本代表に対する意識だ。
石川はインタビューで、代表活動を通じて、プレーだけではチームを動かせないことも学んだと振り返っている。海外で新しい経験を積むことは、選手としての幅を広げるだけでなく、代表チームに還元できる知識や視点を増やすことにもつながる。
2028年のロサンゼルス五輪を視野に入れると、今回の移籍は30歳以降のキャリアを再構築する重要なタイミングだった。
2026年8月のインタビューでは、トルコではまず1年間プレーする考えにも触れている。将来の所属先まで固定したわけではなく、五輪を見据えながらキャリアを柔軟に考えている点も興味深い。
【経歴・年表】石川祐希は中央大学からイタリアのトップクラブへ
石川祐希は、学生時代から日本代表の中心選手として期待されてきた。高校時代の全国的な実績を足掛かりに中央大学へ進学し、大学在学中からイタリアのプロリーグに挑戦した経歴を持つ。
石川祐希の基本プロフィール- 名前:石川祐希(いしかわ・ゆうき)
- 生年月日:1995年12月11日
- 年齢:30歳(2026年11月現在)
- 出身地:愛知県
- 身長:192cm
- 最高到達点:350cm
- ポジション:アウトサイドヒッター(OH)
- 2026-27所属:ジラート・バンク・アンカラ(トルコ)
- 大学:中央大学法学部
- 日本代表:男子代表キャプテン
プロフィールは日本バレーボール協会や月刊バレーボールの選手情報、クラブ公式登録情報に基づく。
中央大学進学から海外挑戦までのキャリア年表石川の経歴を理解するうえで重要なのは、大学時代から海外のトップレベルを経験していたことだ。国内リーグで実績を積んでから海外へ進む一般的なルートとは異なり、学生の段階でイタリアに挑戦している。
この年表から分かるように、石川は中央大学在学中からイタリアでプレーし、2018年の大学卒業後も海外キャリアを継続した。2026年のトルコ移籍は、その長いイタリア生活に一区切りをつける転換点となった。
日本代表キャプテンへの道石川は2014年の仁川アジア大会で日本代表として国際大会に出場した。その後、東京2020五輪では男子代表のベスト8進出に貢献。2021年4月には男子日本代表の主将に就任した。
2024年パリ五輪にも出場し、日本は7位。東京大会に続く五輪経験を経て、代表の中心としてチームを率いる存在になっている。
30歳を迎えた2026年には、海外クラブでの新たな挑戦と日本代表の主将という二つの役割を並行して担っている。
【ペルージャでの成績】2025-26シーズンの4冠と石川自身の課題
トルコ移籍前の石川が所属していたのは、イタリアの強豪シル・スーサ・ヴィム・ペルージャだ。
2024年に加入した石川は、2024-25シーズンにチームのセリエA3位を経験。翌2025-26シーズンには、クラブが国内外の主要大会でタイトルを重ね、4冠を達成した。
ペルージャが獲得した4つのタイトル- 世界クラブ選手権:2025年12月に優勝
- イタリア・スーペルコッパ:2026年3月に優勝
- イタリア・セリエA:2026年5月に優勝
- 欧州チャンピオンズリーグ:2026年5月に優勝
特にセリエA優勝は、石川にとってイタリアでのキャリア11シーズン目にして初めてのスクデット獲得となった。日本人男子選手としては、加藤陽一以来となる2人目の快挙だった。
加えて、5月17日に行われた欧州チャンピオンズリーグ決勝ではポーランドのザビエルチェを3-0で下し、ペルージャが大会連覇を達成。イタリアでの最後のシーズンを、クラブの歴史的な成功とともに終えた。
4冠でも石川本人には悔しさが残った理由ただし、チームの4冠と石川個人の出場実績は分けて考える必要がある。
石川は2026年2月に右膝を痛め、約2カ月にわたってコートを離れた。その影響で、セリエAの決勝やチャンピオンズリーグの準決勝・決勝では、主にリリーフサーバーとしての出場にとどまった。
2026年5月21日の帰国時の取材では、4つのタイトルを獲得できた喜びを示す一方、3つの大会ではコートに立つ機会が少なかったことへの悔しさも明かしている。
「喜びもありますし、心残りも少しあります」
チームが優勝したからといって、本人がすべての決勝で主力として長時間プレーしたわけではない。この違いを押さえると、ペルージャでの2年間をより正確に理解できる。
石川にとって、4冠は大きな成果であると同時に、コンディションを整えて再びコート上で存在感を発揮したいという次の目標につながるシーズンでもあった。
【日本代表キャプテン】2026年アジア選手権優勝とロサンゼルス五輪出場権
2026年の石川祐希を語るうえで欠かせないのが、9月に開催された男子アジア選手権だ。
日本代表は9月4日から13日まで福岡県北九州市で行われた大会に出場。主将の石川を中心に戦い、決勝でイランをストレートで下してアジア王者に輝いた。
決勝はイランに3-0で勝利2026年9月13日の決勝で、日本はイランに3-0(25-21、26-24、25-23)で勝利した。
この優勝は、日本男子にとって大会史上11度目のアジア選手権制覇。加えて、2028年ロサンゼルス五輪の男子バレーボール出場権を獲得するという大きな意味を持っていた。
日本は1次リーグから決勝まで全6試合を勝ち抜き、準々決勝、準決勝、決勝でも勝利。開催国としての期待に応え、アジアの頂点に立った。
国際バレーボール連盟(FIVB)の大会報道でも、日本の優勝とロサンゼルス五輪出場権獲得が正式に伝えられている。
石川祐希の主将としての役割今回の大会で石川は、男子日本代表のキャプテンとしてチームを率いた。
大会前の8月18日、JOCの取材に対して、五輪出場権が懸かるアジア選手権を「負けられない戦い」と位置づけ、優勝を目指す姿勢を示していた。
大会終了後の9月14日には、日本代表の記者会見で五輪出場権獲得について次のように振り返っている。
「ほっとしている。もっと強くなって、昨日のような喜びをもっと大きな舞台で味わえるように戦っていきたい」
この発言からも、アジア選手権優勝を最終目標とは捉えず、五輪本大会でのさらなる成果を見据えていることが分かる。
ロサンゼルス五輪の出場権は誰が獲得した?ここで誤解しやすい点がある。
2026年9月に獲得したのは、石川個人の五輪出場確定ではなく、男子日本代表チームとしてのロサンゼルス五輪出場枠だ。
そのため、石川が2028年の五輪に出場するためには、今後の代表選考を経て日本代表メンバーに選ばれる必要がある。今回の優勝によって日本代表は予選を戦う負担を早期に解消し、五輪本大会を見据えた強化期間を確保できた。
JOCが9月14日に伝えた会見では、ロラン・ティリ監督もチームの継続性を重視する考えを示している。早期の出場権獲得は、選手選考や戦術の成熟に向けた時間を得られた点でも大きな成果だ。
2026年アジア選手権の注目選手と関係者優勝は石川一人の力で実現したものではない。大会では西田有志、高橋藍、小野寺太志、深津英臣らがチームを支えた。
なお、大会MVPに選ばれたのは石川ではなく、アウトサイドヒッターの高橋藍だった。キャプテンとしてチームを率いる石川と、個人表彰を獲得した高橋の役割は異なる。
【身長192cm・アウトサイドヒッター】石川祐希の強さとプレースタイル
石川祐希の身体的な特徴は、身長192cm、最高到達点350cmという数値に表れている。
世界の男子バレーボールでは200cmを超える選手も珍しくないが、石川は単純な身長の高さだけに頼らず、跳躍力、技術、攻撃の選択、レシーブ力を組み合わせて勝負する選手だ。
アウトサイドヒッターとはどんなポジション?アウトサイドヒッター(OH)は、攻撃と守備の両方で重要な役割を担うポジションだ。
主な役割は次のとおり。
- スパイク:主にコート左側から攻撃を仕掛ける。
- レセプション:相手のサーブを受け、セッターに正確にボールを返す。
- ブロック:相手の攻撃を止めるためにネット際で対応する。
- サーブ:相手の攻撃を崩し、得点につながるチャンスを作る。
- つなぎ:ラリー中の守備や二段トスなどにも対応する。
つまり、アウトサイドヒッターは攻撃だけを担当する選手ではない。サーブレシーブでチームを支えながら、自ら得点を奪う総合力が求められる。
石川祐希の強みは攻守のバランス国際バレーボール連盟の選手紹介では、石川の特徴としてコート上の判断力、身体能力、洗練された技術が紹介されている。
また、2019年の男子ワールドカップではベストアウトサイドヒッターに選出された。攻撃力だけでなく、レシーブを含めた総合的なプレーが国際舞台で評価されてきた選手だ。
身長192cmという数字だけで石川の能力を判断するのは適切ではない。重要なのは、攻撃参加と守備参加を高い水準で両立できる点にある。
キャプテンとしての価値はプレー以外にもある石川の存在感は、個人の得点力だけでは測れない。
長年にわたり海外のトップリーグでプレーしてきた経験は、異なる戦術や選手の特徴を理解するうえでも強みになる。日本代表では、海外経験を持つ主力選手として、若い世代と世界のトップレベルをつなぐ役割も期待される。
2026年のトルコ移籍も、こうした経験をさらに増やすための選択と見ることができる。所属クラブで得た知識や技術を、代表チームにどう還元するかが今後の見どころだ。
【よくある質問】石川祐希の現在に関するFAQ
Q1:2026年現在、石川祐希の所属チームはどこですか?
A1:トルコ1部リーグのジラート・バンク・アンカラ(Ziraat Bankkart)です。2026-27シーズンから加入し、クラブ公式サイトでは背番号11番で登録されています。
Q2:石川祐希がトルコへ移籍した理由は何ですか?
A2:主な理由は、新しい環境で経験を積み、選手としてさらに成長するためです。契約条件やクラブの競技レベルも比較したうえで決断しています。単純に年俸だけを理由とした移籍ではありません。
Q3:石川祐希の身長とポジションは?
A3:身長192cm、ポジションはアウトサイドヒッター(OH)です。攻撃とレシーブの両方を担うオールラウンドなポジションです。
Q4:石川祐希は2028年ロサンゼルス五輪に出場できますか?
A4:日本男子代表は2026年9月のアジア選手権優勝によって五輪出場権を獲得しました。ただし、石川個人の出場が確定したわけではなく、今後の代表選考が必要です。
Q5:石川祐希はペルージャで優勝しましたか?
A5:はい。2025-26シーズンにペルージャがセリエA、世界クラブ選手権、スーペルコッパ、欧州チャンピオンズリーグの4冠を達成しました。ただし、石川自身は右膝の負傷によって一部大会で出場機会が限られました。
2026年11月現在、石川祐希はイタリアでの11シーズンにわたる挑戦を終え、トルコのジラート・バンク・アンカラで新しいキャリアを歩んでいる。
ペルージャでは2025-26シーズンに4冠を経験。個人としては負傷による出場機会の制限という悔しさも残したが、クラブで積み上げた経験は大きな財産となった。
加えて、日本代表主将として2026年アジア選手権を制し、ロサンゼルス五輪の出場権獲得にも貢献した。2028年に向けた準備が早期に始まったことは、日本男子バレーにとっても大きな意味を持つ。
今後の注目要点は、次の3つだ。
- トルコでの挑戦:ジラートでレギュラーとしてどのような役割を担い、タイトル獲得に貢献するか。
- コンディションと個人の成績:ペルージャ時代の負傷を経て、どこまでプレーの存在感を高められるか。
- 2028年ロサンゼルス五輪:日本代表の主将として、アジア王者から五輪メダルを目指すチームをどう率いるか。
30歳で選んだトルコ移籍は、長年の成功に安住するのではなく、さらなる成長を求めた決断だった。中央大学時代から海外で挑戦を続けてきた石川祐希が、新天地でどのような進化を見せるのか。2026-27シーズンは、その答えを知る重要なシーズンとなる。