栗原恵さんが患ったのは、一般に「脳血栓」として紹介されている脳静脈洞血栓症(のうじょうみゃくどうけっせんしょう)です。
脳静脈洞血栓症は、脳から心臓へ血液を戻す静脈や静脈洞に血栓ができ、血液の流れが妨げられる病気です。血液がうまく流れなくなることで脳内の静脈圧が上昇し、頭痛や吐き気、嘔吐などが起こります。
重症化すると、けいれんや意識障害、麻痺などの神経症状につながる場合もあります。
一般的な脳梗塞とは何が違う?脳血栓という言葉から、一般的な脳梗塞を想像する人も少なくありません。しかし、脳静脈洞血栓症は、脳の動脈が詰まるタイプの脳梗塞とは血管の場所や病態が異なります。
| 比較項目 | 脳静脈洞血栓症 | 一般的な脳動脈の閉塞 |
|---|---|---|
| 血栓ができる場所 | 脳の静脈・静脈洞 | 脳の動脈 |
| 主な問題 | 静脈の血液還流障害 | 脳への血液供給の低下 |
| 代表的な症状 | 頭痛、吐き気、嘔吐 | 麻痺、言語障害、意識障害など |
| 診断方法 | MRI、MRV、CTなど | MRI、CT、血管画像検査など |
| 主な治療 | 抗凝固療法など | 病態に応じた薬物療法・血管内治療など |
日本脳卒中学会の脳卒中治療ガイドラインや、2026年に改訂情報が掲載された医学情報資料でも、脳静脈血栓症は一般的な脳動脈閉塞とは区別して扱われています。
栗原さんの場合、2016年9月にこの病気が発見されました。本人は後年のインタビューで、発症時の状況や治療について詳しく語っています。
【発症原因】ピルの副作用と激しい頭痛にはどんな関係があった?

栗原さんの発症を考えるうえで、大きなポイントとなるのがピルの服用です。
2024年12月のNumber Webのインタビューと2025年1月のCHANTO WEBの取材で、栗原さん自身が服用の目的や血栓症との関係を説明しています。
ピルを服用していた理由は競技のコンディション管理栗原さんは、現役選手として活動していた時期に、コンディションを整える目的でピルを服用していました。
その背景には、過去に経験した前十字靱帯の負傷がありました。
本人の説明によると、以前、月経のタイミングで前十字靱帯を負傷したことをきっかけに婦人科を受診し、競技生活における体調管理の一環としてピルを使用するようになったといいます。
服用前から医師には血栓症のリスクについて説明され、定期的な検査も受けていました。
それでも、本人が想定していなかったタイミングで血栓症を発症してしまったのです。
ピルには血栓症の副作用リスクがあるピルのなかでも、エストロゲンを含む配合ホルモン剤には血栓症のリスクが知られています。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、対象となる混合ホルモン剤について、血栓症が生命に関わる重大な副作用となる可能性を注意喚起しています。
ただし、すべてのピルが同じ成分・リスクを持つわけではありません。薬剤の種類や個人の健康状態によっても判断が異なります。
重要なのは、ピルを服用している人が、血栓症の兆候を見逃さないことです。
激しい頭痛は見逃してはいけない初期症状栗原さんは、発症時の異変について、CHANTO WEBのインタビューで詳しく振り返っています。
当時は高地トレーニングを行っており、最初は頭痛を高山病によるものだと考えていました。
しかし、山を下りても頭痛は治まらず、次第に悪化。夜も眠れず、最終的には吐いてしまうほどの状態になりました。
母親に電話で相談すると、頭痛と嘔吐の組み合わせから脳の異常を心配され、病院を受診するよう勧められたそうです。
その後も練習を続けていましたが、練習前にテーピングを巻こうと下を向いた際、激しい痛みで涙が止まらなくなりました。
異変を目の当たりにしたトレーナーが受診を促し、そのまま病院へ向かうことになりました。
特に注意したい症状は次のとおりです。
- 今まで経験したことのない激しい頭痛
- 頭痛とともに起こる吐き気や嘔吐
- 手足の急な痛みや腫れ、しびれ
- 突然の息切れや胸痛
- 手足の脱力、麻痺、言葉の出にくさ
- 急激な視力の異常
PMDAも、血栓症が疑われる症状が出た場合には服用を中止して、速やかに医療機関を受診するよう注意喚起しています。
突然の激しい頭痛や麻痺、言語障害などがある場合は、自己判断で様子を見ず、救急対応が必要です。
【治療と競技復帰】2週間の入院からコートに戻るまでの経緯
栗原さんの病気が深刻だったのは、発見された時点で競技を続けること自体に生命の危険が伴っていたためです。
CHANTO WEBの2025年のインタビューによると、医師からは、そのままプレーを続ければ突然倒れて命を落とす危険があると説明されました。
本人はリーグ開幕を目前に控えていたこともあり、当初は治療よりも試合への復帰を気にしていたと振り返っています。
しかし、医師の判断は明確でした。まずは命を守るために競技から離れる必要があったのです。
2016年から2019年までの病気と競技人生の年表| 時期 | 出来事 | 詳細 |
|---|---|---|
| 2016年9月 | 脳血栓を発症 | 激しい頭痛、嘔吐などの異変が発生 |
| 2016年9月ごろ | 入院・治療開始 | 2週間の絶対安静と点滴治療 |
| その後約3か月 | 投薬治療 | 点滴から薬に切り替え、療養を継続 |
| 2016年末ごろ | リハビリ | 体育館に通い、少しずつ身体を動かす |
| 2017年1月 | チーム活動に復帰 | 試合への帯同が可能になる |
| その後 | 競技復帰 | 練習に戻り、現役選手としてプレー |
| 2018年 | JTマーヴェラスへ移籍 | 新たなチームで競技を継続 |
| 2019年5月 | 現役引退 | 約17年間の競技生活に幕 |
栗原さんによると、入院後の2週間は絶対安静でした。
その後、約3か月間は点滴から薬に切り替えて治療を続け、少しずつ散歩程度の運動ができるようになりました。
体調の経過がよくなると、チームが練習している体育館にも顔を出すようになります。
最初は練習に参加するのではなく、チームメイトと会話をしたり、重りのついていないシャフトを持って軽く身体を動かしたりする段階でした。
この時期、栗原さんは引退を考え、チームにもその意思を伝えていました。
しかし、チーム側は競技から離れた栗原さんを見放しませんでした。
週に1度でもいいから体育館に来てほしいと伝え、復帰できる可能性を残してくれたのです。
復帰を支えたのは医療スタッフとチームの存在脳静脈洞血栓症の治療では、一般に抗凝固療法が重要な役割を担います。
日本脳卒中学会のガイドラインでも、急性期の脳静脈・静脈洞閉塞症に対して抗凝固療法が第一選択とされています。
ただし、実際の治療は血栓の状態や出血の有無などによって変わります。栗原さんが受けた治療の詳細を、すべての患者に当てはめることはできません。
復帰までの過程で、チームメイトの存在も大きな支えになりました。
栗原さんは、後輩選手たちから次にいつ体育館に来るのか、いつ遠征に参加できるのかと声をかけられたことを明かしています。
選手としての居場所を感じられたことは、引退を考えていた彼女にとって大きな意味を持っていたのでしょう。
2017年1月には試合への帯同ができるようになり、その後は練習にも復帰。さらに現役生活を続け、2019年まで競技を続けました。
【後遺症と現在の健康状態】栗原恵は病気を再発している?
検索ユーザーが特に気にしているのが、栗原さんに脳血栓の後遺症が残っているのか、現在も治療を続けているのかという点です。
2016年の発症時には、医師から命に関わる危険性を説明されていました。
一方、その後の経過を見ると、投薬治療とリハビリを経て競技に復帰し、さらに2シーズンにわたってプレーを続けています。
2019年には現役を引退しましたが、病気によって直ちに競技生活を終えたわけではありません。
現在も後遺症が残っているという情報はある?2026年11月4日時点で確認できる本人のインタビューや所属事務所の活動情報には、脳静脈洞血栓症による後遺症が現在も続いているという具体的な公表は見当たりません。
ただし、これは後遺症が一切ないことを医学的に証明するものではありません。
また、過去に脳静脈洞血栓症を発症した人について、再発リスクや服薬の必要性は個々の原因や検査結果によって異なります。
したがって、栗原さんについて「完全に治癒した」「再発の心配はない」と断定できる公表情報もありません。
現在はスポーツ解説やメディア出演で活動現在の栗原さんは、現役時代に培った競技経験を生かし、スポーツ番組の解説やコメンテーター、テレビ出演、講演活動などを続けています。
2026年3月発行の公益財団法人健康・体力づくり事業財団の機関誌『健康づくり』でも、元バレーボール選手として紹介されています。
同誌のプロフィールには、現役引退後もスポーツ番組の解説やコメンテーターなど、幅広い分野で活動していることが記されています。
病気を経験した後も、スポーツに関わる仕事を継続している点は、競技復帰を果たした栗原さんのキャリアを考えるうえで要点です。
【2026年最新】栗原恵の現在の活動状況は?テレビ・バレー解説で活躍
2026年の栗原さんは、テレビ出演だけでなく、バレーボールに関連する仕事にも積極的に取り組んでいます。
所属事務所LDHの公式ニュースでは、2026年の出演情報が複数公開されています。
2026年の主な活動| 時期 | 活動内容 | 詳細 |
|---|---|---|
| 2026年1月 | テレビ出演 | MBS『プレバト!!』など |
| 2026年3月 | インタビュー掲載 | 『月刊健康づくり』 |
| 2026年4月 | バレー解説 | SVリーグ女子チャンピオンシップ |
| 2026年6月 | バレー解説 | バレーボール・ネーションズリーグ2026 |
| 2026年7月 | スポーツイベント | 広島東洋カープの始球式 |
| 2026年8月 | バレー解説 | バレーボールアジア選手権2026 |
| 2026年10月 | テレビ出演 | テレビ東京のスポーツ関連特番 |
| 2026年10月17日 | SVリーグ関連イベント | 大阪マーヴェラス対岡山シーガルズ戦の始球式 |
| 2026年11月3日 | 配信番組 | J SPORTSオンデマンド『まるっとバレーボール』にコメンテーター出演 |
特に注目したいのが、2026年のバレーボール関連の活動です。
6月にはネーションズリーグの解説を担当し、8月には女子日本代表のアジア選手権の試合でも解説を務めています。
さらに10月17日には、大同生命SVリーグ2026-27の女子西地区第1節、大阪マーヴェラス対岡山シーガルズ戦で始球式に登場しました。
11月3日には、J SPORTSオンデマンドのバレーボール情報番組にもコメンテーターとして出演しています。
こうした活動から分かるのは、栗原さんが現役時代の経験を生かし、競技を伝える立場としてバレーボール界に関わり続けていることです。
ただし、テレビやイベントへの出演実績は、医学的な健康診断の結果とは別の情報です。現在の健康状態については、本人が公表した内容と活動実績を分けて捉える必要があります。
【プロの結論】栗原恵の病気の真相から知っておきたい3つのこと
栗原さんの経験は、単に有名アスリートが大病を克服したという話にとどまりません。
競技への強い責任感がある人ほど、自分の体調の変化を後回しにしてしまうことがあります。栗原さんも、リーグ開幕を目前に控え、練習を休みたくないという思いから受診を先延ばしにしていました。
今回の経緯から考えたい要点は3つあります。
1. 健康管理をしていても副作用のリスクはゼロにならない栗原さんは、医師から血栓症のリスクについて説明を受け、定期的な検査も受けていました。
それでも発症したことから、定期検査を受けていることだけで、すべての副作用を防げるわけではないと分かります。
ピルを使用する場合は、処方時だけでなく、服用中の体調変化についても医師に相談することが大切です。
2. 激しい頭痛を単なる疲労や体調不良と決めつけない栗原さんは当初、高地トレーニングによる頭痛だと考えていました。
しかし、頭痛が続き、吐き気や嘔吐も起きたことで、病気の発見につながりました。
脳静脈血栓症では頭痛が初発症状となることが多く、症状だけで一般的な頭痛と区別することは容易ではありません。
突然の激しい頭痛や、普段と違う頭痛が続く場合は、早期の医療機関受診が重要です。
3. 競技復帰には本人の努力だけでなく周囲の支援も必要栗原さんが現役生活を続けられた背景には、主治医やトレーナー、母親、所属チーム、後輩選手たちの支えがありました。
特に印象的なのは、本人が引退を考えていた時期にも、チームが体育館に来る機会を残していたことです。
復帰を急がず、少しずつ身体を動かせる環境があったことは、競技生活を再び歩み始めるうえで大きな意味を持っていました。
【よくある質問】栗原恵の病気に関するFAQ
Q1:栗原恵さんの病名は何ですか?
A1:2016年9月に発症した脳静脈洞血栓症です。脳の静脈や静脈洞に血栓ができ、血液の流れが妨げられる病気です。一般には脳血栓として紹介されています。
Q2:栗原恵さんの病気はピルが原因だったのですか?
A2:本人は、競技生活のコンディション管理のために服用していたピルの副作用として血栓症のリスクが現れたと説明しています。ただし、ピルの種類や個人の体質などによってリスクは異なります。
Q3:栗原恵さんはどんな初期症状がありましたか?
A3:激しい頭痛や吐き気、嘔吐がありました。高地トレーニングによる体調不良だと考えていましたが、頭痛が改善せず、最終的にトレーナーに付き添われて受診しました。
Q4:栗原恵さんは病気から何か月で復帰しましたか?
A4:入院後、約3か月間の投薬治療などを経て段階的に身体を動かし、2017年1月には試合への帯同が可能になりました。その後、練習にも復帰して競技を続けています。
Q5:栗原恵さんには現在も後遺症がありますか?
A5:2026年11月時点で、後遺症が継続しているという具体的な公表は確認できません。一方、完全に後遺症がないとする医学的な発表も確認できず、現在の詳細な健康状態は公表情報だけでは判断できません。
Q6:栗原恵さんは2026年現在もバレーボールに関わっていますか?
A6:はい。テレビや配信番組でのバレーボール解説、コメンテーターなどを務めています。2026年10月にはSVリーグ関連イベントの始球式にも登場しています。
栗原恵さんが経験した病気は、2016年9月に発症した脳静脈洞血栓症でした。競技生活を考えて服用していたピルとの関連が本人から語られており、激しい頭痛や嘔吐が発症時の重要なサインとなりました。
2週間の絶対安静と点滴治療、その後の約3か月間の投薬治療、段階的なリハビリを経て、栗原さんは再びコートに戻りました。引退を考えた時期もありましたが、周囲の支援を受けながら2019年まで現役生活を続けました。
2026年現在は、バレーボール解説やテレビ出演、スポーツ関連イベントなどで活躍しています。後遺症や現在の詳しい健康状態については本人からの具体的な公表が限られていますが、少なくとも公表されている活動からは、スポーツ分野で継続的に仕事をしていることが分かります。
栗原さんの経験が伝えているのは、どれほど競技に打ち込んでいても、健康や命に代えられるものはないということです。激しい頭痛や吐き気など、いつもと違う身体の異変を感じたときには、無理をせず早めに医療機関を受診することが大切です。
主な参考資料: Number Web(2024年12月)、CHANTO WEB(2025年1月)、デイリースポーツ(2020年1月)、LDH公式ニュース(2026年)、健康・体力づくり事業財団『健康づくり』(2026年3月)、医薬品医療機器総合機構(PMDA)、日本脳卒中学会の診療ガイドライン。